会社の転勤で
静かな住宅街にある

アパートに引っ越したHさん。
 

リビングの窓には、前の住人が置いていった
白いカーテンがかかっていた。


 

引越ししてしばらくすると
夜カーテンの向こう側に

人影のようなものが見えた。
 

初めは気のせいだと思っていた。



夜ごとにその人影は
鮮明に見えるようになっていった。

ある夜、カーテンの向こうから
囁く声も聞こえるようになってきた。



彼は警察に通報することにした。
 

もしかして、泥棒では?と思ったからだ。
しかし、家の周辺には誰も見つからなかった。



気のせいだろう、とのことで
警察はすぐに帰ってしまった。



しかし、人影と声は
夜ごとにどんどんはっきりしていった。
 

確実に
カーテンの向こう側に何かがいる…



ある晩
Hさんはついに勇気を出して
 

カーテンの向こうを
直接確かめることにした。
 

 

 

彼は、ゆっくりとカーテンを開けた。
 

ただそこには

窓ガラスに反射する自分の姿しかなかった…



安堵したのも束の間
突然背後に悪寒を感じた。
 

振り返ると

背後に真っ黒な人影が立っていた。



全身真っ黒で

顔もはっきりしない人影―
 

それが、ゆっくりと

Hさんの方へ近づいて来た。
 

Hさんは尻もちをついて

窓の方へ後ずさりする。



じりじりと近づいてくる黒い人影。
後ずさりするHさん。
 

Hさんの背中が窓に当たって
もうダメだ...

と思って目を閉じた。



ところがしばらくしても
何も起こらない。
 

恐る恐る目をひらく。
 

目の前には

見慣れたリビングが広がっていた。



助かった...
ホッと一息着いた瞬間—
 

背後の窓とカーテンのすき間から
真っ黒の人影が


Hさんをじーっと

見ていることに気が付き
その瞬間に気を失った。



気が付くと朝になっていた。
 

Hさんは
急いで荷物をまとめ


カーテンを残して
別の場所へ引っ越しした。

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