一人暮らしをしていたRさん。
料理が趣味で
休日もなるべく自炊して生活していた。
その日も休みだったが
特に外出する用事もなく
自宅でいつものように自炊をしていた。
ふと、肩口に水が垂れてきた。
ん？
室内なのに、雨つぶのような…
天井を見るが
濡れているところは見当たらない。
あまり深くは考えず
そのまま自炊を続けて食事をとった。
その日はそれだけで終わった。
それからしばらく経ったある日。
Rさんがバイトから帰宅してくると
キッチンの床に水たまりができていた。
もちろん、出かける前に
水をこぼした記憶はない。
流しから水がこぼれた様子もない。
不思議に思いながらも、床を拭く。
ふと、気になってまた天井を見上げた。
すると、キッチンの天井一面に
水滴がしたたっていた。
それが一斉に
まるで雨が降ってきたかのように
Ｒさんを襲った。
驚きながらも
Ｒさんは急いでキッチンから避難する。
室内なのに
雨が振り続くキッチン。
呆然と眺めていると
しばらくして雨は止んだ。
残ったのは
びちゃびちゃに水浸しになったキッチンと
さっきまでの雨が嘘のように
乾いたキッチンの天井だった…
キッチンの片づけをして
大家にクレームを入れた。
「上の階の水漏れなのか、キッチンが…」
その言葉をさえぎって
大家が話をしてくれた。
どうやら
上の部屋は事故物件らしい。
以前の住民が
酔っぱらって帰って
水を飲もうと蛇口をひねった。
その拍子にキッチンで転倒して頭を打って...
ということがあったようだ。
そのせいか
時折『キッチンにだけ』
天井から水漏れがする時があるらしい。
「キッチン下の収納のところに
御札貼っているんだけどね～」
なんて
悪びれもせず大家は続けた。
そんな話を聞いて
ビビるどころか
大家と交渉したRさん。
家賃5,000円も
下げてもらったぁ～と
うれしそうに
私に語ってくれました。
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