学生のYさんが住んでいたアパート。


Yさんの隣の部屋は1年ばかし
空室だったがある日

その空室に一人の女性が引っ越してきた。
 

年は比較的若く
お隣さんということもあり
 

お近づきになれないか
なんてことを考えていた。



今時珍しく
引越しの挨拶にきてくれて
引越しソバを頂いた。


つい見栄を張って
困ったら何でも言ってください

なんて言ったりしてた。
 

彼女が引越してしばらくの間
昼も夜も

何かバタバタと音が響いていた。
 

荷物の荷解きが多いんだろな
なんて思ってあまり気にしていなかった。



ただ、その音は

夜中にも聞こえることが合った。
 

鉄筋コンクリート造のアパートで

隣の音は響きにくいはずだったが
 

ガンガンともドンドンとも

何かしらの作業をしている音が一晩中響いてた。
 

そんなある日。
 

講義が終わって帰宅すると
ちょうど家を出るお隣さんに遭遇した。



せっかく会ったからと

夜中の作業がうるさいことについて文句を言った。
 

「ごめんなさい」と素直に謝られ
逆に拍子抜けしてしまった。
 

静かにしますねと言って

彼女は出かけて行った。



その日、Yさんは
部屋でダラダラと過ごしていた。
 

夜9時頃に隣の部屋の玄関がバタンと
閉まる音が聞こえた。
お隣さんが帰ってきたようだ。
 

それからしばらくたって

11時を少し過ぎた頃。
 

ボチボチ眠くなって来たなと
Yさんは布団に入っていった。



気が付いたら眠りにおちていたらしい。
目を覚ますと、すでに夜中だった。


隣の部屋から音が聞こえる。
 

ゴリゴリ、ギコギコと木材の
DYIをしているような音が聞こえる。
 

うるさい、と言うほどでもないが
重低音で響いてくる音が
不気味で気持ち悪かった。



布団に顔をうずめて

何とか寝ようとする。
 

その音は明け方近くまで続いていた。
 

翌朝、大学に行こうと玄関を出たタイミングで
お隣さんもゴミ袋を持って出てきた。
 

なんとなく文句ではなく

何を作っているのか聞いてみた。
 

「自分用の棺桶です」
 

隣人はヤバい人らしい。


 

適当に、頑張って下さいとだけ伝え

急いで大学へ向かった。
 

Yさんは、自分の部屋が

事故物件の隣の部屋にならないことを
ただただ祈るしかなかった。

 

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