年末に向けて
部屋の掃除を始めたEさん。
 

毎年、12月前に

部屋の大掃除をするのが日課だった。
 

押入の中を全部出して
押入れ内の埃や蜘蛛の巣をとる。
 

床も拭いてから、必要な荷物はもどし
不要物を捨てていく。



掃除が一通り終わって
荷物の仕分けを始める。


ふと、高校の卒業アルバムが目に留まった。
こういう物は中々捨てられないなぁ…と手に取った。
 

卒業アルバムをパラパラとめくる。
仲のよかった友だちや
同じクラスの人たちが映っているページを見て
高校時代を懐かしんだ。



ふと、あるページで手が止まった。
顔に見覚えがあるのに
名前が思い出せない子が映っていた。
 

生徒の顔と名前が一覧で乗っているページを確認する。
だが、どのクラスにもその子がいない…


でも、この子と一緒に遊んだ記憶があった。
Eさんは必死に名前を想い出そうとする。



どこかに思い出すきっかけがないかと思い
卒業アルバムを隅から隅まで読み返していた。
 

すると、あることに気が付いた。
 

その子は

Eさんが映っている写真にしか
映っていないのだ。
 

そしてどの写真も
遠目にEさんの方を

見ているような位置関係で映っている。



不思議と不気味さは感じなかった。
だが、名前を思出せないことが気持ち悪い。
 

そこへお昼を伝えに、妹が部屋に入って来た。
妹は俗に言う視える人だ。
 

妹がEさんの肩越しにアルバムを覗く。
 

「あ、Mちゃん映ってるねー」
 

その瞬間、Eさんの中に
情報が流れ込んできた感覚があった。



そうだ、この子は

大の仲良しだったMちゃんだ。
彼女はEさんと同じ高校に入学予定だった。
 

それが、入学式の少し前に

事故に合い亡くなっていたのだ。
 

生きていたら
こんな風に一緒に卒業アルバムに映ってたんだな。
 

自然とEさんの目には涙が流れていた。



何故かMちゃんのことを

忘れてしまっていたことを謝りに行こう。
 

EさんはMちゃんのお墓へ

線香をあげに行くことを決めた。
 

アルバムを押入れに片付けて
Eさんは食卓へと向かった。

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