Kさんは晴れを願って
てるてる坊主を5つ作って
窓辺に吊るしていた。


「明日、晴れますように!」
 

翌日に行われる予定の
雨天中止のお祭りを楽しみにしていたからだ。



天気予報は降水確率40%。
何とか張れるだろうと、思ってすぐに寝付いた。
 

翌朝、Kさんの願いは叶わなかった…
 

期待に反して、土砂降り。
確認するまでもなく、

祭りの中止は間違いなかった。



祭りを楽しみにしていた気持ちが
行く当てがなくなり


向かった先が
てるてる坊主だった。
 

吊るしていた
てるてる坊主達をむしり取って
 

ハサミで切ったり
投げつけたり
踏んづけたり…



行き場のない怒りをすべて
てるてる坊主達へぶつけた。


ずいぶんと暴れ回って
少し気持ちが軽くなった。
 

ボロボロにした
てるてる坊主の残骸を
ゴミ箱に捨て蓋をした。



居間でゲームを始めたら
もう、お祭りに行けなかったイライラなんて

すっかり忘れていた。
 

外ではまだ土砂降りが続いていた…
 

夜になった。
K君は眠りに自室に戻る。
 

外は雷も鳴っていて
相変わらずの土砂降りだった。


 

騒がしさはあったが眠気が強く、

ほどなく眠りについた。
 

夜、奇妙な夢を見た。
 

自宅の景色が見えるのだが、目線が高い。
そこへK君が入ってくる。
 

夢の中のK君が
こちらに向かって手を伸ばしてくる。


 

気が付くと

そのK君の手元に握られていた。
 

他のてるてる坊主と一緒だ。
 

夢の中で
K君自身は

てるてる坊主になっていた。
 

順番にK君によって

ボロボロにされていく。
 

逃げ出したいのに体は動かない。


あっという間に
4つのてるてる坊主が

ボロボロにされていった―
 

夢の中のK君に
地面に叩きつけられる。
 

足が自分に向かって
振り下ろされ

踏みつけられる瞬間……

 

目が覚めた。



ベットの上には
ボロボロのてるてる坊主の残骸が散乱していた...


朝になって、母親に相談して

すぐに神社にいった。
 

軽くお祓いをしてもらい

気持ちが少し楽になった。
 

K君はそれ以来、
決して

てるてる坊主は作らなくなったようだ。

 

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