貧乏学生のKさん。
 

住んでいたアパートの家賃を払えず
追い出されたため、新居を探していた。



大学近くの、
家賃の安い物件を探す。


やっと見つけた、
和室のオンボロの一軒家…



畳の部屋で全体的にカビ臭く、
各部屋は障子で仕切っていた。
 

じめっとして不気味な印象—
だが、金額的に
選択肢が他になかった。



引越してしばらくたった。
 

アパートのように隣人の音を
気にする必要がなく、
あんがい快適な暮らしだった。



ふと障子に穴が開いていることに気が付く。
あれ、入居の時からだっけ?‥・
 

あまり気にもせず、
毎日ダラダラ過ごしていた。



更に数日が過ぎた。
ん?障子の穴が増えてる?
 

酔っぱらって、

うっかり穴をあけているんだと思った。


 

さすがにボロボロすぎるな...
休日に障子を張り替えよう。
 

近所のホームセンターで
必要なものを買いそろえ、
綺麗に張り替えた。


その日はご褒美にと、
酒を買って飲んでいた。
 

気が付いたら寝落ちしていた。
夜中に目が覚める。
 

まどろみの中、
ふと障子の方に目をやる。


 

「あ・・・」
 

障子に穴が開いている。
せっかく張り替えたのに・・・
と思った矢先―


 

薄明りではっきり見えない。
穴の向こうに何かがいる。
 

動いている何かの気配。
 

そこからギロっと
目玉が覗いていた。


その目玉がギョロギョロ動いたと思ったら、
Kさんと目があった。
 

そいつはニタァっと、
笑ったように目を細めた。


すると、障子の別のところに
穴が空いた。
 

驚いて穴の方に目線を移す。
すると、また別の目玉が―
 

そいつとも目が合う。
それもニタァっと笑った。


穴と目玉とを10個ほど見て、
いつの間にか気を失っていた。
 

Kさんが目を覚ます。
障子は穴だらけになっていた。


 

大家に確認したが、

事故物件ではないらしい。
 

そんな現象は今まで聞いたことがないと、
そっけない返答だったそうだ。


 

どうやら障子を全部はがすと、
そいつは表れないらしい。
 

Kさんは引っ越す金がないので、
今も同じ家に住んでいるそうだ。

 

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