釣り好きなSさん。
晴れた日曜日に友人と海釣りに出かけた。
そこは、地元で人気のスポットだった。


夏の日差しの中、2人は海へ向かった。
なぜだか今日は大物が釣れる!
そんな予感がしていた。


海に着く。
波止場に移動して、早速釣り糸を垂らす。
待つこと数時間。
友達の竿に強い引きがあった。


Sさんも手伝い、必死にリールを巻き上げる。
十数分ほど格闘の末、やっとその大物を釣り上げた。


しかし、それは魚には見えなかった。
鱗はなく、尾ひれもない。
 

真っ黒で、滑らかな肌を持つ、
巨大なナメクジのような生物だった。


それは、ぬめぬめと
体をくねらせている。
 

不気味に思ったSさんと友人。
その奇怪な生物を
海に戻すことにした。

 

友人が蹴って海に落とす。
それは、しばらくプカプカ浮かんで
そして海の底へ沈んでいった…


その日は、
お開きにして帰宅した。
 

ネットで探してみる。
 

だが見つからない。
未発見の深海魚だったのか?


翌週、またそのスポットへ向かう。
その日は友人の都合がつかず、
Sさん一人で向かった。


先週の不気味な生き物が
脳裏をチラつく。
 

気にしないようにして
釣りを始めた。
糸をたらして数十分ほど…


かかった!
必死にリールを巻く。
格闘すること20分ほど


徐々に水面に近づいてくる。
だが、そのシルエットがおかしい。
それが水面まであがって来た


それは…
仰向けになった友人だった。
 

水面にプカプカ浮いている。
驚いて釣り竿を落っことした。


友人は釣り座をと一緒に、
ゆっくりと海の底に沈んで行った。
はっとして、急いで友人に電話する。


「どうした?」友人だった。
 

じゃあ、あれは…

Sさんは釈然としないまま、
しばらく波止場で呆然としていた。

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