子煩悩なHさん。
時間がある時はいつも
娘と遊ぶ良いパパだった。
休日は、近所の公園まで手を繋いで行って、
娘が満足するまで遊び倒していた。
愛娘がようやく一人で滑り台を
滑られるようになった頃。
いつもの公園へ遊びに行った。
滑り台を滑る娘を、
下の方で眺めていた。
一人で滑られるようになったとはいえ、
まだちょっと怖いらしい。
中々滑ろうとせず、躊躇していた。
おいで~、と何度か呼ぶと、
やっと覚悟を決めたようだ。
まさに今から滑る
という瞬間—
後ろに向かって、
何か話をしてるような素振りを見せて、滑ってきた。
その時は少し気になった。
ただ、その後は
いつものように遊び倒して家に帰ってきた。
その日はいつものように
休日を過ごしていた。
家族で夕食を食べる。
その後、娘と一緒にお風呂に入った。
お風呂ではよく、
浴槽やシャンプーボトルなどを擬人化して
「お風呂さんありがとね~」
とか
「シャンプーくーだーさい」
とか
お話しながら入っていた。
お風呂からあがる時も、
「お風呂さん、また明日ね~」
などと言って出るのが日課だった。
だがその日は少しいつもと違っていた。
「お風呂さん、〇〇ちゃん、また明日ね~」
お風呂に入っているのは
Hさんと娘の二人だけ。
誰のこと?と聞いてみた。
〇〇ちゃんだよ!
と、はっきりとした返事をした。
その時も、シャワーか何かを
擬人化しているんだと思って、
あまり気にしてはいなかった。
翌日から、その奇妙な出来事が
徐々に気のせいでないことが分かり始めた…
おままごとや食事の度に
「〇〇ちゃんどーぞ」とか、
「〇〇ちゃん、あーんして」とか
娘が言うのだ。
流石に気味悪い。
妻と相談して、
最寄りのお寺にお祓いしに行くことにした。
お寺に連絡して、週末に家族で出かけた。
住職曰く、悪い霊ではないそうだ。
ただ、人ではないものと
接点が多すぎるのは良くはないとのこと。
「これは、お祓いではなく浄霊だ」
とか説明されたが、
とにかく浄霊とやらは案外あっさり終わった。
それ以降、娘が
「○○ちゃん」と言うことはなくなった。
でも、娘が一人遊びをしている時、
不意に誰かと遊んでいるのでは?
と思う時があるんです…
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