彼女は毎朝、
同じ時間に、

 

同じカフェの席

同じ席でコーヒーを飲むのが習慣でした。
 

「いつもの!」と注文すると
オリジナルブレンドのコーヒーが運ばれてくる。



香ばしい匂いを嗅ぎ、
苦みを味わい、
行き交う人を眺める。
 

コーヒーを飲みながら、
お気に入りの小説を10分ほど読む。
 

そして会社へ向かう—
それが彼女の日常でした。



そんなある日。
コーヒーの味が変わったような気がした。
 

いつもの香ばしさがない。
それに、なんだか苦さが強い…
 

最初は「気のせいかな?」と思っていた。
だが次第に、その違和感が強くなる。



ある朝彼女は、店員がコーヒーを入れる時、
何か小瓶から液体を加えるのを見た。
 

「何を入れたんですか?」
と、彼女は店員に尋ねた。
 

「あぁ、これは隠し味です。元気が出ると好評で。」
と、ニコニコしながら説明してくれた。



府に落ちない説明だった。
 

けれども、その日もいつものようにコーヒーを飲みほした。
そしていつものように、会社へ向かって行った。



しかし、なんだか調子が悪い。
疲れやすく、集中力もなくなっていく…
 

あまりにも不調が続くので病院へ行く。
「何らかの物質による中毒症状」とのこと。



「あのコーヒーが…」
そう思った彼女は、すぐに警察に通報した。
 

すぐに店員は逮捕された。
ほどなくして、行きつけだったカフェも閉店になった。


捜査の結果、
店員が常連客に薬物を少量ずつ投与していたらしい。


「毎日、同じ時間に来る客がいると、
 その人の一日、一週間、一生を

 コントロールできる気がして面白かった。」
 と、自供していたらしい。



幸いなことに
後遺症や禁断症状などはなく、

彼女の体調はすっかり回復した。
 

今は元気に仕事をしている。



朝の一杯は、まだ続いてる。
ただ、同じ店、同じ時間にならないように、

複数店舗を渡り歩いているそうだ…

 

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