私の人生に
深く影響を与えてくれていた叔母を
亡くしてしまいました。
叔母は
小さかった私を
百合子(ユリコは私の本名です)からとって、リーさん、ときちんとさん付けで呼び、
出掛けるときも
お子さまランチなどは食べさせてくれず、
お蕎麦なら神田の藪、
鯛茶なら竹葉、と
おおよそ私を子供扱いをしない、
自分の美意識を基に生きていた人でした。
大学生のときに
大学茶道部代表になったことも
Parisに住んだときに、
時間があるならソルボンヌで学ぶように薦めてくれて、それに従ったことも
今、思い出すと
「素晴らしいわね、リーさん」と
叔母の美しいアルトの声に
誉められたかった為だけだったような気がします。
のんびりと穏やかで、華やかな私の母とは違い、
万事、判断が早く、さばさばと潔ぎ良かった叔母。
我が家はじまって以来の、
バツイチ体験者になってしまったけど、
あの世に召される時も、
大切なお弟子さんに手を握られて旅立ちました。
本当に本当に悲しい。
自分の座標軸を失ってしまったかの様です。
病気が解ってから
まだ、今までのお礼が皆さんに言えるうちにと
生前葬を気丈に執り行った叔母。
遺品が沢山残ってるなんて粋じゃない、
夏羽織がたった一枚、
さらっと箪笥に残っていたら、
セミの脱け殻が木立のなかに落ちているかのような風情でいいわ、と
沢山の着物も全てお弟子さん達に分けてしまった叔母。
本当に天晴な最期でした。
言葉がありません。悲しい。
宗華