評点: 5/5

 

内容: 

人工知能の過去と現在と未来への可能性に対して語る。人工知能の開発におけてぶつかっていた壁とその壁を超える可能性としてのディープラーニングに関しての内容が重心となっている。

 

感想:

まず、すごくわかりやすく書いているので一般人向けで誰にでもお勧めしたい本である。とは言え技術に対する説明も充実になっていて、今話題となっているディープラーニングや機械学習、画像認識、自動運転技術等などがどのような仕組みで働いているのかつかめることが出来る。今まで人工知能がぶつかっていた問題は自ら学習することが出来なかった点である。一つ一つの概念に対して人間が直接教えるという形ではこの世にあふれる情報を全て書き込めることはできないからだ。この問題の解決の手がかりとなっている技術がディープラーニングである。そのディープラーニングの原理と最後に本当に人工知能が賢くなりすぎて人類に危機をもたらせる未来が来るのかに対する話も出てくる。これから訪れる未来を思い浮かびながら楽しく読むことができた。

 

補足:

*ディープラーニング

今までの機械学習では人間が特徴量を作ることで成り立っていた。しかし、ディープラーニングではデータをもとにコンピューターが自ら特徴量を導きだすようになった。構造的面から従来の機械学習とディープラーニングの一番の違いは1層ずつ階層ごとに学習していく点と自己符号化器という「情報圧縮機」を用いていることだ。画像認識で例えると今までの機械学習では「4の手書き画像」を入力して正解として「4」を与えていた。しかしディープラーニングでは「4の手書き画像」を入力して同じく「4の手書き画像」を答えとして合わせる。この機能を自己符号化器と呼ぶ。また1層ずつ学習するということは出力層と隠れ層がありその下に出力層があってこの層一つで学習ができるということ。またこの隠れ層の情報量を引き上げてまた入力に使うことを何回も繰り返す。つまり学習の段階を深くする、ディープラーニングである。