3年B組金八先生。
昔、雑誌の記事で誰かが
「こんなの(金八先生)見ないで成長していきたいね。」
と言っていたのを思い出した。
当時学生だった自分はこのコメントには明らかな違和感を感じたんだけど50を過ぎた今ならその気持ちが分かる。
果たして金八先生とは一体何だったんだろうか。
ドラマ史上最も長くシリーズ化された作品だったことは間違いない。子供の頃は正しいとされていた価値観も成長と共に、時代と共に変わる。
この教育テレビに出てくるような学校もの。そこにとってつけたような衝撃(のような)出来事、事件。まさに道徳の教科書を体現化したようなストーリー。昭和の時代のドラマとしては御の字ではなかろうか。
―そう、昭和のドラマとしては、だ。
この金八先生は確か第8シリーズまで放映されていたはず。その中で第一、第二シリーズは"そういった時代でもあり"高視聴率を上げていた。第一シリーズがせいぜい教室内でのゴタゴタ程度の波風であり完全にほのぼの路線だった反省からか、第二シリーズは不良、校内暴力といった衝撃的な内容にクローズアップされていた。
その最たるものが荒谷第二中学校の番長が桜中学校へ転校して、暴走族たちと乱闘騒ぎを繰り広げ、警官に逮捕されたシーンであろう。
第一第二シリーズと順調に視聴率を稼いでいたのだが、その続編となる第三シリーズは意外にもその7年後=1988年に始まっているのである。1988といえばバブル真っ盛りでこのボログでも取り上げたがバブルと金八先生はまったく結びつかない。
シリーズ中もっとも印象が薄いとされている第三シリーズだが、自分は第三シリーズからはくだらなさに拍車がかかった金八先生は一切見ていない。
はっきりいって坂本ワールドに嫌気がさしたからである。熱血教師というより彼の立ち振る舞いが癪に障った。
ダサく映らされた生徒役も滑稽だな。
もちろん金八先生すべてを否定している訳ではない。
第一、第二シリーズは評価している。昭和の香りが画面越しに伝わるからである。
話が逸れたが、果たして金八先生Ⅱをド直球で見た時に、かならず非難の的になるのが加藤たちが「卒業式を潰さないためにやった」と全くもって意味不明なことを口走るあのシーンだ。
荒谷二中教師への話し合いという美名のもとの実際は暴力であった。生徒に全力でぶつかる熱い教師陣(正義とされる:坂本金八、君塚校長、体育の伊東、荒谷二中の大山、鈴木)に対し、不良たちから非難を受けるろくでなし教師陣(音羽、清水、校長)という構図が出来たが果たして本当にろくでなしだったのか?
加藤らが暴れている場面では必死に抑えているし、一般生徒には教室へ入るように指示しているし、冷静に見れば多少の問題発言はあるけど、暴力生徒からほかの生徒を守ろうとしている件も見れる。
生徒の逮捕後に警察と話し合う場面でも一貫して自説を曲げず主張するシーンでは厳荘な感じすら見えた。
「「犯罪を起こさせた側の責任はどうなるんです?」というとんちんかんな坂本の発言の後には
「じゃあどうして頭を真っ赤かにして来るんです?!どうして子供は学校で悪さばかりするんです?!親がだらしないからでしょ!(魂の叫び)」
と最高のセリフを吐いている。
金八や君塚たちの穿った目線のおかげで「荒谷二中の教師は問題教師扱い」されている始末・・・
さらに卒業式の以上総代にその加藤を選ぶ始末・・・
変わったことして目立とうというメディアの痛すぎる台本。
スナックZで悪態をつきまくっていた加藤のほうこそ本当の姿だと思うけどな。あんなのに卒業生代表をさせていいのか?