続き…

衝撃音がした後に少し体が軽くなったような気がして…すると八兵衛が声を上げた。格さんは逝きました。しっかり役目を果たし無言でね。今度は私の番です。私は世界一の脇役だから…ハァハァーフゥフゥー息づかいが荒くなった八兵衛の足に目をやると真っ赤に熱っていた…

あぁ…疲れた。ちょっとだけ休憩。そう言って彼は目を閉じ足の動きを止めた…

やがてハァハァーフゥフゥー激しい息づかいが再び始まった…

それまでしっかり押さえ続けてくれた僕の体から彼は手を離し背中を前方に向かって強く押し出した…振り返るな!前だけを見ろ!前だけを…

もの凄い速さで八兵衛から離れて行くのがわかった…

最後は一人で進まなければならない…
初めからわかっている予定通りの事だとしても僕はとても悲しかった。あと少しだけ彼等と一緒にいたかった…

我慢出来ずに振り返ると
軌道上を漂いながらゆっくりと下降する
小さくなった八兵衛の姿が確認出来た
精魂疲れ果てた彼の足は二度と動かなかった

続く
つづく