全体重をかけて、ハグを求めてくる彼。

正直、ハーフアップしていた髪留めが、下敷きになってめちゃくちゃ痛かった(笑)


でも、黙って彼のハグに応じた。

体をずらし、彼は私の真横に寝転がった。
腕枕の体制で、両腕で抱きしめられたまま。

「ねぇ…キスだけしてほしい」

と言うと、顔を斜めにして、キスをしてくれた。
でも、セックスが始まるような深いキスではなく、お互いを労わるような優しいキス。

「待って、鼻水が止まらない(笑)」

体を一旦起こし、再度ティッシュで鼻をかむ。

彼の涙は、まだ止まっていなかった。

「どうして泣いてるの?私、困らせてる?(笑)」

というと、

「ううん、違うよ」

と、再びすっぽり抱きしめてくれた。

そのまま、しばらくお互いの体温をただ感じる時間。私は、彼の背中をただ撫で続ける。

この日、本当にセックスはしなかった。