彼が喫煙所に入りました。

私は喫煙所の前のスペースから、海と流れる車を眺めていました。


ここから飛び降りたら…痛いだろうな(笑)


そんなバカなことが、一瞬あたまをよぎりました。


バカだね。そんなことを考えるなんて。

私には、子供たちもペットたちもいる。

まだまだ守るべきものがある。

そんなことを考えてる場合じゃない。


すぐに、思い返しました。


海を眺めていると…


初めての、彼とのデートのことを思い出します。


皮肉だなぁ…

初めてのデートの場所で、別れ話かぁ…


うっすら思っていたけど…

結局、彼に最後に見せたのは、仕事用の格好だったな(笑)


制汗スプレーあんなに慌てて撒き散らかしたのも、今となってはウケる。


そんなことを考えていたら、怒りはおさまっていました。


その代わり、襲ってきたのは、

今までのkazとの思い出。


初めての海ほたるでのデートはもちろん、

伊豆高原での旅行。彼のリラックスした表情がたくさん見れて、嬉しかった。





箱根では、大きな天ぷらを笑いながら食べたなぁ…







手を繋いで、お弁当を持っていったお花見。また来年も一緒に見れたらいいな、そんな風に思っていたのに…




いつの間にか、目を瞑っていた。

目頭には、涙が滲んでいた。


気がつくと、隣にkazが立っていた。


私の涙に、気付いたかな…

そんな風に思っていると。


「…帰ろうか」


彼の口から、死刑宣告のような言葉が。

あぁ…私たちに、もう話すことはないんだ。