泣き出した彼。

びっくりした。


男の人が、あんなに泣くのは初めて見た。

「kaz?泣いてるの?どうして?」


「今日は…帰らせて。10月2日に…」


彼の背中をさすりながら、私は言った。


「嫌だよ、帰れない。ねぇ、エッチしなくていいから、ホテルに行こう?ぎゅってしてあげたい」


彼の涙は止まらない。

でも、おもむろにナビを触り始めた。


設定は、いつものホテル。


正直、驚いた。


手も繋いでくれなかった彼が、

ハグしてあげたい、の言葉に即反応して、車をホテルに向かわせてる。


信じられなかった。


運転しながら、彼はまだ泣いている。


私が泣いた10倍くらい。


ただただ、驚いて、私は彼の運転する車に乗っていた。途中、あんまり泣く彼の背中をさすりながら。


すごく驚いたけど…


愛おしい気持ちでいっぱいだった。