パーキングに戻る。
ここで、少し話せたりしないかな…
そんな風に少し思っていた。
彼は、無情にもすぐにエンジンをかけ、私の家をナビに設定した。
本当に、とりつく島もないとは、このことだな…
車が動き出した。
幸い?道路は少し混んでいた。
少し話す時間はありそうだ。
私は口を開いた。
「イヤだって言ったら、どうなるの?」
「…」
彼は困ったような顔をした。
長い、長い、長ーい沈黙。
あまりの長さに
「えっ?私、もう答えもらえたっけ?考え中??」
kazが小さな声で答えたのを聞き落としたとかと思い、変な質問をした。
「いや…なんて言っていいか、わからなくて…」
kazの顔を見つめた。
「生活が落ち着くまでは…」
「…彼女はいらないって?」
「…」
私は少し意地悪に笑った。
生活が落ち着いたとき、隣にもし誰かがいたとして、それは私じゃない。
「冬には…新しい人を見つけて、幸せになってほしい」
「ほかの人とセックスしろって?わかった」
言い捨てるように、意地悪な言葉が口を出た。
何を言ってるんだろう、私は。
車のスピーカーからは、無情にも私の大好きな「ドライフラワー」が流れてきた。
多分わたしじゃなくていいね
余裕のない2人だったし
気づけばケンカばかりしてた ごめんね
ずっと話そうと思ってた
きっと私たち合わないね
2人きりしかいない部屋でさ
あなたばかり話していたよね
もしいつか どこかで会えたら
今日のことを 笑ってくれるかな
理由もちゃんと話せないけれど
あなたが眠ったあとに 泣くのはイヤ
声も顔も 不器用ならとこも
全部全部 嫌いじゃないの
ドライフラワーみたい きみとの日々も
きっときっときっときっと
色褪せる
窓の外を見ながら、黙って聞いていたら、
自分たちのことみたいに思えて、笑えてきた。
今は、別れがイマイチピンとこないけど、
きっと、明日の朝、
彼かいつもの
「おはよう」
が来なくなったとき、
大泣きしそうな気がした。
イヤだ、イヤだよ、別れたくない。
涙が出て、溢れおちた。
「うぅー…」
小さくうめいて、目頭を押さえた。
カバンから、ハンドタオルを取り出し、目元を押さえる。
運転している彼を見る。
目が合った。