なんとか2時間半後に、待ち合わせ予定の駅で合流!!
「つかれた…」
とkazくん。
私は精一杯明るく、
「落としたとかはないのかな?」
「前もこんなこと、あった?」
「私は、家で無くしたと思い込んでたら、実は盗まれてて。警察から電話かかってきたことあるよ。」
と、話しかける。
が、彼は頷いたり首を振ったり、
話す言葉は最小限。
私が豊洲のYouTubeを見てきた話をしても、曖昧な返事。
今思えば、1時間以上探して見つからない財布をそのままにしたまま、旅行に出かけるって相当不安だったろうし、
キャッシュカードや免許証などの個人情報も入ってるわけだし。
kazくんが心ここに在らずな状態なのは、無理もなかったのですが。
朝から本当にこの旅行を楽しみにしていた私は寂しくて…
わざわざ乗ったゆりかもめ内でも、彼は目を瞑って黙り込んでしまっていた。
「海が見えるよ」
「今、レインボーブリッジだよー」
と、彼が顔をあげるたびに、明るく話しかけていたけど…
その横顔を見ながら、、、悲しいを通り越して腹立たしい気持ちにもなってきて
この対応…
当たり前じゃないからなっっ
普通だったら怒ってていいトコロだと思う。
財布を無くしたのは彼の責任。
でも…私も忘れ物、無くしものはする方なので、
そこを責められても辛いのはわかってる。
しかも、落ち込んでるのは彼の方だしね。
でもさ…
もう少し楽しそうな顔してくれたっていいじゃん
疲れ果てたようにどんよりとうつむいて目を瞑る彼を尻目に、
せめて自分は、この綺麗な景色を楽しもう、と窓の外に目をやりながら…
なんだか気を遣ってる自分が、馬鹿らしくなってしまった。
澄み切った青い空、
どこまでも広がる海を眺めながら、思っていた。
最悪な、旅のスタートだ。