こうなると、姉の耳には何も入りません。
「マッチングアプリの人を、音楽の場所に連れてこないで!」
姉はそう言いますが、
kazくんは私にとって、
マッチングアプリの人
ではなく、
恋人
なんです
私が音楽をやっている以上、
彼女のことを想っている彼氏だったら
「コンサートを聴きに行きたい」
というのは、当然の感情。
「昔お付き合いした人に、窃盗症の人がいてね…」
というのは、断る理由にはなりません
「お姉ちゃんには何を言っても伝わらないかもしれないけど、今回の彼は今までの人と違って、すごく丁寧に付き合ってくれてるの。私のこと、大事に扱ってくれてるんだよ」
「今までの人だって、そう言って1ヶ月で別れてるじゃん。出会って1ヶ月やそこらの人に、なんでコンサート出るとか個人情報漏らすの?信じられない。冬ちゃんおかしいよ?!」
もう、こうなっては話が通じない。
私のことを大切に思ってくれてるから、次のコンサートもわざわざ休みを合わせて聴きに来てくれるんだ
という、私にとっては「安心材料」のつもりで伝えた内容は、全くの逆効果になってしまった
今、姉に何を言っても伝わらない。
LINEを既読にしたまま、そっと姉とのトークスペースを消去した。(ブロックじゃありません)
モヤモヤな気持ちを抱えたまま、kazくんとのお泊まりデートをすることになったわけだが…
ここでさらにモヤモヤすることがあり、
私は待ち合わせ場所でkazくんの目を見ることができず、
手を繋がなくて済むように、腕組みをして彼の隣を歩いた。
彼と、手を繋がずに隣を歩く。
そんなこと、付き合ってから初めてだった。