リビングに、ケーキとお茶が用意され、皆さんもう召し上がっていた。
私に続き、Sくんも席に着く。
姉がなかなか来ない。
(奥様につかまって話し込んじゃってるのかな?)
その程度に思っていた。
姉が来なかったので、ケーキには手をつけず、コーヒーだけ頂きながら皆さんの話を聞いていた。
なんか、あの奥様に妙に気に入られちゃって…
Sくんが耳打ちしてくる。
うん、見てたよ(笑)奥様(80歳くらい)もきっとSくんみたいな若い男の人が興味持ってくれて、嬉しいんだよ
と小声で話しながら姉を待っていた。
すると、スタッフの女性が私を呼びに来た。
「冬さん、すみません。次の打ち合わせがしたいので、いらして頂いてもいいですか?」
え、今ですか?
ちょっと怪訝に思いながら、リビングの外に出た。
スタッフの方についていくと、突き当たりのお風呂の脱衣所のようなところに通された。
狭い脱衣所には椅子もなく、家主の娘さん、呼びに来てくれたスタッフさん、そして…姉がいた。
姉は少し不安げな表情に見えた。
え、ここで打ち合わせですか?(笑)
私は何が起きているのかがわからず、のんきに笑いながら脱衣所に入った。
スタッフさんが脱衣所のドアを閉める。
私は背中越しで見えなかったのだが、姉からは見えていたようだ。
Sくんが怖い顔をしてこちらを見ていた姿を。