彼がシャワーから出てきた。


もう寝る?


うん。


じゃあ暗くするね。


部屋を真っ暗にされ、ベッドに二人で入り、いつも通り彼の腕枕に体を滑りこませる。


真っ暗か…ベッドライトも着けない。

さすがにHはなしか。

残念な気持ちと、どこか安心したような、複雑な気持ち。


…と思ってると、暗闇の中彼が唇を重ねてきた。

優しく。ゆっくり、しっとりと。


いつもの舌を絡ませるセックスが始まるキスじゃなくて、いたわるような優しいキス。


ずっと会いたかった。

そんなに優しいキスをされたら、余計に欲しくなっちゃうよ。


キスが徐々に深くなり、私も彼に応える。

彼が体を起こし、愛撫が始まり、応えるように声が漏れる。


いつもより長くて深い愛撫。

傷ついた気持ちを、埋めようとするかのように。

彼の深い愛撫にを、むさぼるように彼の背中にしがみつき、長いセックスが始まった。


ねぇ…好き…


俺も…


夢中な彼は気づいてない。

私が今欲しいのは、「俺も」じゃなくて、「俺も好き」

だよ。


月明かりでお互いの顔がギリギリ見える。

でも表情までははっきりわからない。

今夜は大好きな彼のタトゥーは見えない。


それで良かったのかも。

きっと、少し泣きそうな、困った顔をしていたから…


夜は更けていく。

私にとって、長い夜が始まる。