映画は、いつも通り彼の大好きなサスペンス映画。シーズンのファイナルだったので、登場人物についてTくんが時折説明してくれる。
へぇ…そうなんだ。
と相槌を打ちながら、映画を観る。
Tくんは、私がすっかり落ち着いてると思ってる。
私は…というと、気持ちは落ち着いていた。
ただ、虚無感でいっぱいだった。
目はしっかり映画の方を観ていた。
けど、時折上の空で、違うことを考えていた。
映画が終わった。
面白かったね。終わり方もよかった。
感想を言う。
目は虚ろだったかも。
ヒロイン、前作の◯◯の娘だったんだなー
繋がったー面白かった
彼は満足そう。
頭重くなかった?
お腹すいた?パスタ作るね。
えらいね。自炊してるんだ。
簡単なやつね。
たくさん食べれる?
ううん、量は少しでいいや。
Tくんがキッチンに立ちパスタを作りはじめ、私はテーブルの席に着く。
彼が作ってくれたパスタは、アルデンテでとっても美味しかった。
ゆで加減もちょうどいいね。
美味しかった。ごちそうさま。
もう寝る?片付けとくから、シャワー先に浴びてきな。
なんだかいつも優しい彼が、さらに優しい。
うん、ありがと。そうするね。
脱衣所へ移動する。
彼がバスタオルなどの準備をしてくれる。
久しぶりに冬の裸が見れる![]()
すれ違いざまに声をかけてくる。
…ナニ言ってるの?見せないよ。
本気とも、冗談ともとれない声色で、返事をする。
いたずらっぽく脱衣所の扉を開けたり閉めたりして、Tくんが出ていった。
シャワーを終え、入れ替わりで彼が入る。
彼のシャワーを待つ間、いたたまれなくて最初の記事をアップしたのはこのタイミング。
私はどうすべき?
話をぶり返されたくない、と彼は思ってるに違いない。
このまま気持ちをおさめる?
起きた出来事を振り返る。
札幌で女の子と知り合って、LINEを交換した。
彼の言う通り、軽い気持ちで交換したのかもしれない。
でもきっと、彼女のフランクな文面から予想すると、帰京してからの5日間も毎日LINEを送りあっている。
それこそ、朝晩。
私と同じか、それ以上の頻度で。
嫌だ、嫌だ。
私のLINEに既読がつかない間、その子とやり取りしてたの?
嫉妬でどうにかなりそう。
やってない、って言ってるけど、本当のことは永遠にわからない。
だって、私と彼はセックスから始まった。
こういう時、そのことを鮮明に思い出される。
さすがの彼も、今夜は求めてこない?
ここに来るまで、前の日にアレして、コレしてと彼のお願いをドキドキしながら聞くつもりでいたのに。
彼とのセックスは私も楽しみにしていた。
求められたらどうする?
私は、どうするの?