札幌のめぐみを目の前でブロック、削除した彼。
めぐみからのLINEの内容は、飼い犬の写真を見せて、という他愛もないもの。
目くじらをたてる程ではないのかもしれない。
けど、そんな他愛もないことをお願いする距離感、ってことでしょう?
バグりすぎなんだよ、この人
もう消したし、何もないよ。
俺のことそんなに好きでいてくれてるの?(笑)
大した問題じゃないみたいに笑ってる。
違う違う違う。
そうじゃない。
涙が出てくる。
…もう、あんな思いしたくないの…
涙が落ちる。
元旦那の不貞で苦しんだ話は彼にしてる。
彼もすぐにわかったらしい。
離婚の理由だったからだね。
嫌な思いさせて、ほんとにごめん。泣かないで。
抱きしめてくる。
私は彼女だと思ってたけど…違うの?
違くないよ。冬ちゃんは俺の、大事な彼女だよ。
優しく彼の唇が近づき、目を瞑って受け入れる。
大人しく、彼の腕の中で静かになる。
コーヒー飲む?
ほら、座って一緒に映画観よ。
見終わったらパスタ食べよ。
頷いてソファに座る。
彼が膝まくらで頭を乗せてくる。
重い?重かったら言ってね。
ううん、大丈夫。
彼の頭を膝に乗せた体制で、映画が始まった。
ただ、私の心の中は全然収まってなかった。