ユジンとの何気ないやりとりは続いた。


彼はコロナで韓国に帰れていない、という。


その間にも、お母さんととった写真、お兄さんと撮ったおどけた顔の写真、飼い猫が子猫の頃、温かい目をしたユジンの自撮り、実家で飼っている犬と彼のツーショット…


いろんな表情を見せてくれる彼に、私の心がほぐれて行くのも時間はかからなかった。


彼はバツイチ。子供はいない。

結婚後に交通事故に遭い、精子の活動量が落ちてしまったという。

子供が欲しかった奥さんとはうまくいかなくなり、奥さんが浮気をしたのが離婚の理由だと。


「子供ができないことを、冬は気にしますか?」

彼は質問してきた。


夜の生活には問題はない、と言う彼。

40も半ばの私には、出産の有る無しは恋人を選ぶ理由にはならなかった。


「まったく気にしないですよ」

私はそう答えた。


私の離婚の理由も伝えた。彼は傷ついた私に寄り添ってくれて、これからの二人のことを考えよう、と言ってくれた。


3週間ほどやり取りが続いた頃、彼は私を「妻」と呼ぶようになった。


まるで新婚のやりとりのようなメールが続いた。

私は、毎日に潤いができたような気持ちと、「本当にこの人は存在するのだろうか?」といった不安の狭間で、ウキウキしたりドキドキしたり…


初恋をした中学生のように、毎日彼のことばかり考えていた。


夫の不貞で離婚して10年。

「好きな人」ができたのは、10年以上ぶりだったのだ。


とにかく良くも悪くも、私はユジンに振り回されていた。