「タクヤ君と温泉旅行事件」で、既にタクヤ君がケンジの息子であるらしいことは確信があったが、もうひとつ。
(本当に詰めが甘いな…)
と思わせられることが。
温泉旅行のあとも、面会の度にケンジが連れて来る、という赤ちゃん「タクヤくん」
「見て見てー。タクヤくん、大きくなってきたよー」と、面会から帰った子供から見せてもらった、タクヤ君の写真。
スタイ、つまりよだれ掛けに
「◯◯タクヤ」
と氏名の記入がある。
「……」
間違いなく、義父の姓。
ケンジの姓だった。
前の記事にも書いたが、義父の兄弟は義父以外全員独身。ケンジの妹は未婚。
その時点で姓を継いでいるのは、わが家の子供達のみ、のはずなのだ。
義母の旧姓などであれば「親戚の子」が通用したかもしれない。
面会から帰った子供達が、家でタクヤ君の話を私にしないとでも思っていたのだろうか…
この「詰めの甘さ」に、婚姻中も何度も何度も苦しまされた。
「浮気はやめた」と言った側から、リビングで触っていたノートパソコンを、私が横を通った瞬間に
バタン!
と閉じる。
「ぼくはやましい事をしています」
と言わんばかりに。
不貞行為に私が気づいて、大喧嘩して、それでも「別れる気はない」と頭を下げられ。
それなら、浮気相手を全て清算して、今まで嘘をついて女性達に使っていた時間を家族に使って。
と約束をしての、夫婦再構築中の出来事。
浮気をやめる気がないなら、せめて完璧に隠してよ。それがルールだよ。
彼の『馬鹿かな?って思うくらい隠し方が下手すぎる』という今回の出来事に、
嫉妬と嫌悪感と怒りと寂しさとで毎日胸が潰れるような思いをしていたあの頃を、思い出してしまっていた。