江戸時代、徳川将軍家を支える御三家の筆頭格だった、尾張徳川家のゆかりの宝物を紹介する「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」が、サントリー美術館(東京都港区)で3日から15日まで開かれています。

 

紫式部の「源氏物語」を絵画化した現在最古の作品とされる国宝「源氏物語絵巻」をはじめ、徳川美術館(名古屋市)が所蔵する刀剣や甲冑、染織品などの名品約130件を通じ、大名文化の粋に触れることができます。

 

 徳川美術館の加藤祥平学芸員は「御三家筆頭の尾張徳川家は、将軍家とのやりとりも多く、贈答品や公式儀礼に用いる道具として、文化財が重要な役割を果たしていた

」と話されます。

 

 大名道具は「表道具」と「奥道具」に大別されます。表道具は将軍が臣下のもとを訪れ、主従関係を確認する「御成」や、家督相続などの公的な儀礼の際に贈答された品々を指します。

 

 武士の象徴である刀剣は、表道具の中でも特に重要視されました。「脇差 無名 貞宗 名物 物吉貞宗」(重要文化財)は豊臣秀吉が所持し、秀吉の没後に息子の秀頼から家康に献上されたと伝わっています。尾張徳川家では当主交代の際にはこの刀を継承する儀式も行われていたといいます。

 

「銀溜白糸威具足」は、銀粉を膠で溶いて塗る「銀溜」の技法で装飾された短冊状の小札や、もえぎ色の糸が美しい甲冑です。尾張徳川家初代・義直が参勤交代などの際に携帯したと言われ、力強さと上品さを兼ね備えています。

 

 一方の奥道具は、当主とその家族らの私的空間である「奥」で用いられる道具のことで、3代将軍家光の長女・千代姫が尾張徳川家に嫁いだ際の婚礼調度品である「初音の調度」(国宝)などが代表されます。

 

今展の目玉である「源氏物語絵巻」(国宝)も奥道具の一つですが、意外にも、いつ、どこから尾張徳川家にもたらされたかなどは、不明な点が多いといいます。

 

「江戸時代は私的な鑑賞用として、それほど重視されていなかった。『現在最古の源氏絵』という評価は近代以後の調査によって定まった」と加藤さんは話されます。今展では光源氏が、女三の宮と柏木の間に生まれた子・薫を抱き上げる場面「柏木(三)

」など、四つの場面が、展示替えしながら順次出展されています。

 

鼓革や藤・杜若を金糸、色糸で縫い表した「白綸子地鼓に藤・杜若文打掛」など、武家女性が着用した華やかな染織品も見ものです。

 

 加藤さんは「質・量とも豊かな尾張徳川家のコレクションの魅力を会場で堪能していただけたら」と話されるのです。

 

< いつか投稿するつもりで、とっておいた記事、すっかり忘れて今日の投稿となってしまいました。興味のある方には、申し訳ない投稿です。>