新紙幣の発行を記念して、紙幣を製造している国立印刷局の工芸作品を展示する企画展「お札を創る工芸官の伝統伎」が15日まで、東京・上野の東京国立博物館で開かれています。

 

 国立印刷局はお札(日本銀行券)や証紙などを印刷しています。国の顔とも言えるお札には、絵柄やデザインの美しさだけでなく、偽造を防ぐ役割も求められています。

 

そのための技術のうち、凹版印刷すき入れ(すかし)は、専門職員「工芸官」が今も多くの部分を手作業で担っています。

 

 このうち凹版印刷は、1㍉の中に最大10本前後の線を引き、精密な肖像や風景を刷り出せる印刷方式で、明治天皇や西郷隆盛の肖像画を描いたことで知られるイタリア人画家エドアルド・キヨッソーネが伝えた技術を継承・発展させてきました。

 

 写真などから描いた凹版彫刻画(コンテ画)を金属の版面に転写し、針で傷をつけ、専用の彫刻刀「ビュラン」で版面を彫って原版を作ります。画線が非常に細かく、インクが盛り上がって印刷されるため、触るとざらざらする独特の感触があり、偽造が極めて難しいのです。

 

 光にかざすと絵や文字が見えるすき入れは、紙の厚さが周囲より薄い部分が白く見え、厚い部分が黒く見えることを利用し、図柄を表現する技法で、紙幣の厚さわずか0.1㍉での高い技術がうかがえます。

 

明治期に和紙の産地と知られる越前(福井県)で開発された技術が伝えられものですが

、詳しい製法は門外不出となっています。

 

 いずれの技術も、一人前になるには最低15年以上かかるといいます。企画展では、工芸官たちが技術向上のために作った城郭などの凹版彫刻画(18点)や、舞妓などを表現したすき入れ美術紙(18点)を並べています。

 

 工芸官は凹版彫刻やすき入れなど4部門で計約30人いますが、職務内容は家族や友人にも話すことができません。企画展はそんな工芸官たちの晴れ舞台でもあります。

 

< 未だ我が家では、新紙幣はお目にかかっていません。皆さんはどうですか?。>