「ボタンを押すタイミングが難しい」「でも、なかなかおもしろいな」――。
５月下旬、都心の貸し会議室に大学生９人が集まってファミコン用のゲーム「ロックマン２」プレーしています。プレーヤーが主人公になり、敵を倒しながら進んでいくゲームで、発売は９人が生まれる前の1988年。
この集まりを主催したのは、古いゲームを楽しもうと2023年10月にできた「横浜国大関東・大学レトロゲーム・レトロサークルです。テレビで古いゲームのことを知り、興味を持った横浜国立大３年、佐野主真さん(21)が X(旧ツイッター)で呼びかけ、36人が活動しています。
佐野さんは「ファミコンはコントローラーに十字形のキーと二つのボタンしかなく
、ただ敵を倒しながら進んでいくという単純さがおもしろい」と笑顔をみせ、日本大３年矢沢寛典さん(20)は「最近のゲームは途中でセーブしないといけないくらい長いが、空き時間に十分楽しめる」と、ファミコンのおもしろさを話します。
1983年に発売されたファミコンは2003年の製造中止まで6191万台売れ「スーパーマリオブラザーズ」「ドラゴンクエスト」などのソフトの販売数は５億本に上ります。
ゲームソフトの買い取り販売も行う「ブックオフコーポレーション」では、ファミコン関連商品の23年の売り上げが、20年に比べて約７倍に増えました。また、本体が壊れた人のために、23年には互換機も発売しました。
担当者は「40~50代が懐かしさで買っているようだ。コロナ禍で『自宅で遊びたい』と買った人も多いのでは」と推測しています。
懐かしいゲームをもう一度楽しんでもらおうと取り組む人も。かつては友達同士でファミコンのカセットを貸し借りする場合、カセットに自分の名前を書いておくこともありました。
ゲーム開発会社を経営する関純治さん(50)は、名前が書かれている中古カセットを買い集め、約920点を写真付きでインターネットで公開されています。また「自分が持っていたカセットだ」と連絡してくれる人がいれば、確認したうえで「お気持ち」程度の価格で譲り渡されています。
関さんは、「ビートルズを『古い』と言って聴かない人はいない。古いゲームは一つのジャンルになっている」と色あせないファミコンの魅力を評価されるのです。
立命館大教授の中村彰憲さん(ゲーム産業論)は、「現在の家庭用ゲームの形を確立したのがファミコンだ」指摘。
「『ボタンを操作する』『敵を倒す』『クリアする』など、現在のゲームにつながる基礎が全て入っているから、画質や音質は最新機に劣っていても、今でも十分に楽しむことができる」と、ファミコンが再び人気を集めている背景について話されています。
＜ 我が家でも買って長男が始めましたが、注意せず、好きにさせていたら、いつしかやらなくなっていましたね。＞