中央省庁で、「MVV」と呼ばれる組織理念を策定する取り組みが広がりつつあります。若い世代が企業を選ぶ際に重視する傾向が強まっていることなどを受けた動きで

、省庁が存在意義や組織のあり方を明確に示すことで人材獲得や働きがいの向上につなげる狙いがあります。

 

 経済産業省が今春定めたMVVには「理想の経済社会を思い描き、国民の豊かさを真摯に追及する」「未来に誇れる日本をつくる」といった使命が明示されました。

 

エネルギー政策や経済安全保障など業務が複雑になる一方、中途採用者が2割増え、4人に1人が育児・介護と業務を両立するなど、人材や働き方が多様化しています。

 

こうした状況を踏まえ、MVVには「個の力を磨き、高める」「希望する働き方を実現する」といった文言も入れており、MVVの実践度合いを、人事評価にも反映する方向で検討を進めています。

 

 このほか人事院も今年、MVVを公表し、財務省やデジタル庁も組織理念を定めています。また人事院は国家公務員全体が大切にすべき価値観をまとめた「行動規範」を策定する方向で、人事院の川本裕子総裁は「どんな行動が積極的に求められるのか、立ち戻れる原理的な規範の明確化は非常に重要だ」と話されます。

 

民間では野村ホールディングスも4月、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」といった内容のパーパス(存在意義)を策定しました。谷垣浩司執行役員は「策定過程で社員の業務やキャリアに対する意識が高まった」と話されます。

 

 転職支援サイトを運営するウォンテッドリーの22年の調査では、就職先選びに企業理念を重視した人の割合は75%に上っており、官民問わず人材の獲得競争が激しくなる中、組織理念の重要性も高まっているのです。

 

< 国については知りませんが、わが市には「市民憲章」がありますし、民間には、その社の創業者の言葉などが「社訓」としてありますね。はたして、国家公務員全体としての「行動規範」には、何が書かれますかね。>