東京都心に置いている本社機能を、製品やサービスの開発・生産拠点へと移すメーカーが増えています。縦割り状態にある社内組織の距離を近付けて連携を強化し、迅速な経営判断や業務効率化につなげる狙いがあるといいます。

 

 東芝は5月16日に発表した中期経営計画に、東京・浜松町の本社を、製品の企画や開発を行う事業部門の拠点がある川崎市へ、2025年9月末までに移転する計画を盛り込んでいます。現在の本社は「東京芝浦電気」から東芝に社名変更した1984年に入居しましたが、かつて本社が置かれていた川崎に出戻る形になります。

 

経営再建に向けた賃料コスト削減だけでなく、経営幹部と現場の距離を縮めることで「内部硬直性の打破」を目指します。昨年末に社外から就任した池谷光司副社長は、「東芝は長年の混乱で、本社が事業部門と寄り添う姿勢や、管理体制の整備がおろそかになった。これを直す機会だ」と指摘されます。

 

 また、オリンパスが今年4月、東京・新宿から八王子市の研究開発拠点へ本社を移したのは、内視鏡など医療用機器の技術者と営業社員のコミュニケーションを、密にするためだったといいます。

 

 さらに、横浜ゴムは昨年3月に東京・新橋から神奈川県平塚市の生産拠点へ本社を移しました。移転で自宅から本社への距離が遠くなった社員を対象に、机やプリンター購入などテレワーク費用を補助する「ホームオフィス制度」を導入しています。

 

 これまでメーカーの本社は、取引先への訪問がしやすいよう、都心に集中する傾向がありましたが、テレワークやオンライン会議の普及などにより、その意義も薄れてきているのです。

 

製造業の経営に詳しい早大の長内 厚教授(経済学)は「都心の一等地に本社を置くことが信用につながるという意識は変化している。賃料などコストと業務の効率化を比較し、都心からの移転が広がっている」と指摘されています。

 

< 私には、各企業の向上への真剣さが伝わってきます。それに引き換え、自動車製造企業のていたらく、日本製品の信頼に大きな穴をあけたのですから許せません!。>