経済産業省の有識者会議が、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の改定に向けた議論を始めました。現計画は、2030年度の電源構成について、太陽光などの再生可能エネルギーを「36~38%」、原子力を「20~22%」、石炭など化石燃料を使う火力は「41%」とする目標を示しています。

 

また日本は、温室効果ガスの排出量を50年に実質ゼロとする国際公約を掲げていますが、現状では、国内の電力の70%超を火力で賄っており、再生エネルギーは約22%、原子力は約6%にとどまっています。

 

そのうえ、人口が減り電力需要が減少すると見込まれていましたが、電力を大量に使う生成 A I の普及で、逆に、需要が伸びるとの予測が出てきました。

 

 増える需要を賄うには電力の供給力を高めなければならず、一方では脱炭素のために火力発電を減らさなければなりません。そして、この課題の克服には技術革新は欠かせず、また、この課題を両立させる対策の一つは再生エネルギーの拡大なのです。 

 

従来型の太陽光発電の適地は少なくなっていますが、シート状で、ビルの壁面や窓などにも貼ることができる新型の太陽光発電池の普及を急ぐことが重要になりますし、洋上発電の拡大も大切で浮体式の量産技術の確立も必須です。

 

また、NTTが開発に取り組んでいる光技術を使った新型の半導体は、電力消費量を激減させる可能性をもっているといいます。

 

さらに原子力発電は、電力の安定供給と脱炭素の両立に有効であり、国内33基のうち東日本大震災後に稼働したのは12基で、政府は再稼働を後押しすべきだし新増設も、基幹電源と位置づけている以上、その方針を明記する必要があるのです。

 

< 温室効果ガスの排出量を50年にはゼロにするという国際公約を実現するには、新計画で、再生エネルギーの比率を上げ、原発の活用をどこまで進められるかがカギを握っているのです。>