博物館などで文化財を傷める虫やカビをガスで殺す「燻蒸」の実施が難しくなる可能性が高まり、博物館の間で不安が広がっています。使用するガスの有力メーカーが販売終了を決めたためですが、背景には燻蒸を巡る苦境がありました。

 

 「日本液炭」(東京)は、虫にもカビにも効果がある「エキヒューム S」を、2025年3月で販売を終了することを決めました。

 

販売終了の理由は複合的です。原料調達費用がここ10年で2~3倍に上がって収益が悪化したほか、環境省からは、環境への影響が指摘される原料の酸化エチレンの排出抑制を求められました。

 

また、薬剤に頼るだけでなく、温湿度管理などによる「総合的有害生物管理(IPM)」という考え方も浸透。さらに、自治体が文化財保護にかける予算を減らしていることもあって、かつては定期的だった燻蒸をやめたり、間隔を広げたりする博物館が増えているといいます。

 

 しかしそれでも、燻蒸ガスが不要になったわけではありません。IPMを徹底しても害虫がわくことはあり、水害などに遭いカビが発生することもあります。木材内部に浸透して虫を駆除できるのは燻蒸ガスしかなく最終手段として非常に有効なのです。

 

博物館関係者の間には不安が広がっています。京都国立博物館(京都市)では、燻蒸庫がエキヒューム S 専用のため、他のガスを使うには改修が必要なうえ、虫とカビ双方に効く別のガスを使う際は装置による風が起き、金箔が剥がれかかっている彫刻などには向かないといいます。

 

カビを簡単に払えないもろい文化財も多く、殺カビ効果も必要です。同館の降幡順子・保存科学室長は、「代替策が見つからない」と悩まれておられます。

 

 盛山文部科学相は、5月24日の記者会見で、エキヒューム S の販売中止について「大変頭の痛い問題。文化財IPMの周知を進めながら、影響の把握を継続し、文化財保護に影響が生じることが無いよう必要な対応をとりたい」と、述べられています。

 

< 日本の文化財の多くは木材と和紙、虫とカビは天敵なのです。IPMを徹底しても害虫はわき、水害などではカビが発生するというなら、補助金を支給しても燻蒸ガスの生産を続けさせるべきだと思います。

 

ところで「おちこぼれ」さんが、23年2月10日の投稿「お知らせ . . .」以来、1年と4か月ぶりに、お友達からの電話に「元気です」と答えられたとか。そしてブログもそろそろ再開するとの事です。本当によかったです!。>