インドには政府が指定した約7000の部族、憲法に定められた22の公用語があり、1947年に独立して以来、選挙で政権交代を行ってきた伝統もありますが、その多様性と民主主義が危機にひんしています。

 

インドは英国からの独立後、政治や個人の行動は宗教から独立すべきだとする「世俗主義」を国是としていますが、その多様性がモディ政権下で進むヒンズー至上主義の広がりにより、他宗教への寛容さが失われてきているのです。

 

 3月下旬、インド北部ハリヤナ州ヌー。 がれきの前でイスラム教徒のタヒル・カーンさん(41)は「家族の誰かを亡くしたような気分だ」と話します。

 

経営する小売店の入った建物が昨年9月、当局のブルドーザーで事前通告なしに破壊されたのです。大家さんは所有権の証明書を提示しようとしましたが、当局関係者らに殴られ、破壊される店を恐怖とともに見守るしかなかったといいます。

 

揚げ菓子「サモサ」のショーケースや冷蔵庫、調理器具も壊され、損失額は60万ルビー(約113万円)に上りました。店の売り上げが唯一の収入源ですので、再開した仮店舗で細々と営業を続け、借金の返済に追われています。

 

 昨年7~8月、ヌーではヒンズー教徒とイスラム教徒の宗教対立に端を発した暴動が発生し、死傷者もでました。カーンさんは加わってはいませんでしたが、「我々は与党インド人民党の反イスラム政策の下で狙われたんだ」と訴えています。

 

ブルドーザーは、人民党の街宣カーとして選挙でも登場し、アショカ大のアリ・カーン・マフムダバード准教授は「人民党が考える『正義』を執行し、物事を成し遂げる能力を象徴するものと使われている」と指摘されています。

 

< 理由も無いまま拘束され留置される中国より、仕事をするなら、世界一の人口と経済発展を続けているインドと思いました。カースト制度が根深く残っていることは危惧していましたが、宗教対立が激しくなるとは思ってもいませんでした!。>