24年春闘で、日本製鉄は基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当分について、労組の要求額を上回る月額3万5000円を回答しました。

 

労組側の要求額は3万円で、1975年以来、約50年ぶりの高水準でしたが、今井正社長は「優秀な人材が集まるかどうかは、企業の競争力を左右するとして「経営の意思」で賃上げを決めたと強調されます。

 

 自動車大手のスズキや、「餃子の王将」を運営する王将フードサービスなどでも要求越えの回答があり、また、自動車の認証試験問題が起きたダイハツ工業では、労組が要求をしていない状況で、経営側がベア2000円の実施を決めています。

 

春闘は現在、中小企業の交渉が本格化しており、業績が好調な企業では、経営側が要求越えの回答を示す可能性もありそうだといいます。

 

 要求越えの回答が相次ぐ状況について、芳野友子・連合会長は3月15日の記者会見で、「労使交渉の中で職場の実態を含めて真摯な協議・交渉の結果ではないか」と評価されていますが、労使双方の関係者からは、課題を指摘する声も出ています。

 

元連合会長の神津里李生・連合総研理事長は先月、インターネット上のコラムで、要求超えの回答について、労使関係のコミュニケーションを重視する経営者であれば、満額超え(の回答)などはあり得ない」と記されています。

 

一方、経営側からは「要求水準が低すぎた結果だ。海外企業と競って優秀な人材を確保するために高水準の賃上げが必要という認識を持つべきだ」(大手メーカー首脳)など、労組側の認識の甘さを批判する声がでています。

 

 労働組合に詳しい法政大の山田久教授は、「賃上げの環境が変わるなか、労組は今後、賃金以外の人材の育成や取引先への価格転嫁の促進といったテーマについて経営側と積極的な交渉を行うことが必要だ」と指摘されています。

 

< 1975年の年収は200万円余りだと思いますが、当時の3万円のベースアップは、今ではいくらのベースアップになりますかね。神武以来の景気と言われた時かも知れませんが?。>