【 国際リニアコライダー(ⅠL C ) 】

 地下約100㍍のトンネルに全長20㌔・㍍の直線型加速器を設置する国際プロジェクトで、高速近くまで加速された電子と陽電子を正面衝突させ、宇宙初期の高エネルギー状態をつくり、質量の源とされるヒッグス粒子の様子を調べ宇宙誕生の謎に迫る。

 .......................................................................................................

 

  次世代の巨大加速器「国際リニアコライダー(ⅠLC)」計画を推進する国内の科学者組織が、建設候補地として、岩手、宮城両県にまたがる北上山地が「最適」と評価してから、今年で11年を迎えました。

 

一部研究者や地元は長らく誘致活動を展開しておられますが、実現の兆しは見えません。状況が進展しないのはなぜなのか?。

 

 この10年、東北誘致の旗振り役を務めたのは鈴木厚人・岩手県立大学長(77)ら一部の研究者や地元の自治体、経済団体です。

 

建設や稼働に伴う雇用創出や関連産業の集積が見込まれるとして、地元団体は建設から20年間での国内経済効果を3兆0100億円とはじき出し、達増拓也・同県知事(59)も「震災復興のシンボル」と語られていました。

 

 しかし、政府は建設に慎重で、鈴木氏らは、塩谷立・元文部科学相(73)を会長とする超党派の「リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟」をてこにして、政府に早期実現を何度も要望してきたのです。

 

最大の課題は、各国の分担を前提とした約8000億円に上る巨額の建設費で、ノーベル物理学賞の受賞につながった観測装置の後継となる「ハイパーカミオカンデ計画」の722億円、世界最高水準のスーパーコンピューター「富岳」の1078億円と比べても圧倒的に高いのです。

 

 現在、日本でI L C 計画を中心になって進めるのは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の山内正則機構長(67)と、日本誘致に取り組む研究組織・ⅠLCジャパン代表で次期機構長候補でもある浅井祥仁東京大教授(56)のお二人です。

 

2人は前任者の鈴木氏とはことなり現実路線を歩み、ロシアによるウクライナ侵略などの国際情勢の悪化や、欧州原子核研究機構(CERN)が計画する大型円形加速器「FCCーee」の建設可否の検討結果が25年に出ることなどから、

 

「日本政府は誘致を25年まで待つのが適切だ」と主張し、日本政府も2人の意見を重視しており、日本の誘致方針が定まるのは早くても26年になりそうなのです。

 

< ウクライナ侵略戦争が終わっても、欧州各国にはウクライナ復興予算が期待されています。更なる大型円形加速器建設はどうなりますか?。>