次世代半導体の国産化を目指すラピダスの小池淳義社長は長くアメリカンフットボールをプレーし、71歳の今も時間を見つけては、若者に交じって俊敏な動きで楕円球を抱えて走るといいます。

 

 日本の半導体の現状についての質問に「今は4thダウン&2㌨・㍍だ」と、印象的な言葉で答えられています。

 

 ラピダスは回路線幅2㌨・㍍(ナノは10億分の1)という最先端品の生産を目指しており、その挑戦をアメフト用語になぞらえたのです。

 

4thダウンとは試合の勝負どころで、ここで2㌨・㍍半導体の生産に成功できなければ、日本は半導体競争に敗れてしまう、といった意味が込められています。

 

 日立製作所で半導体部門を率いた小池氏は20年ほど前、日立と台湾企業が設立した半導体製造会社の経営を担っていましたが、成功には至らず挫折を味わいました。

 

 ラピダスは昨年設立されたばかりですが歩みは速く、昨年9月に北海道で工場建設が始まり、11月には小池氏自ら米西海岸に渡り、海外展開への拠点づくりを始めています。

 

 ただ、国内企業が現在作れるのは40㌨・㍍程度とされ、2㌨・㍍の生産には飛躍的な技術革新が必要となります。

 

米IBM技術協力を取り付けたものの、巨額の資金確保や人材確保など課題は山積みで、計画を疑問視する声は絶えないといいます。

 

 アメリカンフットボールではわずかな距離も前進するのは難しく、チーム全員が体を張ることが求められ、4thダウンでは失敗できない重圧にもさらされます。

 

そのことをよく知る小池氏の言葉に、日本の産業の浮沈を左右する2㌨・㍍への挑戦に懸ける覚悟がみえるのです。

 

< さらに少子高齢化が進む日本では、2㌨・㍍半導体を武器に、海外を市場とする製品を作り、経済的発展を遂げねばならないのです!。>