夏休みになると、いつも心がザワザワする。

娘が、拒食症を発症したのが3年前の夏休みだったから。

暑い夏。走り回る小学四年生の娘。どんなに懇願しても、食べず、飲まず、みるみる骸骨のようにやせ細っていく娘。貧血を起こし倒れそうなのに、骸骨のまま、なにかに取り憑かれたようにまだまだ走り回る。


死に向かって行く娘に何が起こったのかもわからず、途方に暮れる私。

怖い怖いホラー映画の中に入ってしまったような、夏休みだった。

……今は回復し、この3年、病気によって得たものは確かに大きいけど、、。

やっぱりあのホラー映画の登場人物には二度となりたくない、、と思う。


今年、中学生になった娘は、部活とサッカーと遊びと、忙しくは過ごしているけど、帰ってくれば、疲れた〜と言ってゴロゴロとスマホ片手に動画をみている。

ずっとみてるので、「いい加減に宿題やりなさい!」と私が怒り、仕方なさそうに「はーい」とはじめる。30分ほど勉強すると、休憩すると言ってまたスマホ。

毎日寝る前にどんなに遅くなっても、3年間続けていた筋トレも、疲れ切った日には、自分でやめることもできるようになってきた。

この間、娘が、映画の「天気の子」がみたい!というので、家族で見に行く。楽しそうにポップコーンを食べながらみていた。DVDでたら絶対買う!面白かったぁとお姉ちゃんと話している娘。


ふと、3年前の夏休み、拒食症真っ只中、毎日走り回る娘の気をそらしたくて、むりやり行った映画を思い出した。集中力もないので、つまらなそうに、むしろじっと座っているのが苦痛そうで、途中でもう帰りたいと泣き出したな…。帰りに公園に寄りたいと言って、暑い中、一人で走り回ってたな。私たちは、あのとき、とても辛く、悲しく、混乱していた。

あの夏から3年たったんだな。


今は、疲れたら休み、楽しいことがあれば義務よりそちらをつい優先してしまう、自分のことが好きになれた、普通の中学生。

普通の夏休み。こんな日が来ること。3年前の私に言ってあげたい。

今。苦しくてもきっと大丈夫。