不都合な彼女 -2ページ目

図書部

「図書部はいらない?」


「・・・はぁ。」


谷先生の申し出は正直「エー・・・」だった

だって、図書部なんて暗くてオタクのイメージピッタリすぎたからだ。

これ以上 暗い オタク ってイメージをクラスメイトに与えたくなかった


「・・・ぇっと、」


すみません って、言おうとした時、先に言葉を生んだのは谷先生


「あ、蜂屋さんもどう?本好き?図書部はいらない?

 今、部員いないから好きなようにしてくれていいのよ~


 お願い 入ってくれない?」


「  ・・・・ハイ!分かりました!入ります!」


・・・・・・

私は






入らざる終えなくなった瞬間を


目の当たりにした。



どう考えても、この状態

唯子が入らなくてはいけなくなったのは私の所為である



「飯森さんは?」


谷先生は聞いたけど

私には1つしか答えが無かった


だって、私は無駄に、義理堅い女だったから


「・・・わかりました。はいります。」


私は 先輩もいない ルールも無い 経験も実績も無い ぶっちゃけ何も無い

図書部に入った

兄の影

それから、ずっと一人で行っていた移動教室を

(いや、実際を言えば、一歩引いて、クラスメイトの後をつける(了承は取ってたけど)痛いヤツでした)

蜂屋唯子と行うようになっていた。


その日は国語の移動教室があって

図書館から教室に戻ろうとしていた時だった


「飯森さん。」


呼びかけたのは「谷先生」。

ヘンな先生(風呂は毎日入るけど、頭は二日に一回しか洗わないと自分で宣言するほど)だったけど

結構人気があった


「なんですか?」


「ねぇ、飯森さん、もしかして 雄大の妹じゃない?」


「・・・・・そうですが?」


雄大とは「飯森 雄大(めしもり ゆうだい)」という、うちの四つ上の兄だ

兄は同じ「K高生」だった。

そして・・・


「ねぇ、飯森さん」


「はい」


「図書部に入らない?」


「・・はぁ。」


兄は図書部だった。

蜂屋唯子

うちはいつものように4限までうけると

弁当を一緒に食べてくれる友達を探した。

昨日一緒に食べていたクラスメイトは

もう和気藹々とグループ組んで食べ始めていたから

「いれて」

とは言えなかった。

プライドだけは、異様なまでに高かったのだ。

そこで私は一人でお弁当を食べていた「蜂屋唯子」に近づいた。


蜂屋唯子は一言で言えば地味な子だ。

うちも地味だったし、さらに言えばオタクだったが

さらに上を行く存在だとその頃うちは思ってた。

クラス中に疎まれている感じがあり、今までうちは避けていた。


「・・・ねぇ、一緒に食べない?」


ドモリ半分、怯え半分の声で、うちは唯子に話しかけた

唯子は驚いたようにお弁当の箸を止め、立ち上がりイスを用意してくれた


「あ、ごめ、ありがとうございます。」


それから昼休みの間中当たり障りも無い会話をした

うちらはお互い他人やったから

名前 やら 出身中学校 やら 血液型 やら話題は尽きなかったけど

話は続かなかった。

正直、うちは「ああ、この子とは無理や。続かん」と思った。


「飯森さん!」

でも次の日唯子からうちに話しかけてきて

「お・・お弁当  一緒に・・・。」

無理やとは思っていたけど

そう誘われたら断れなかった。


それから何となく

「食べよう」

と、誘ったり、誘われたりしないで

昼休みになったら、お弁当を寄せ合うのが普通になっていった。



そんなわけで、

高校時代、うちは認めたくなかったけど

浮いていた者同士でつるんでいたと言われても仕方なかったと思う。

嫌われ者とあえて言わないのは、さすがにそれは認めたくないからだ。


それでも、うちは

「蜂屋唯子」のおかげで

高校に入って初めて友達ができた。

高校に入って始めて

うちの学校での生活は単調で

ギリギリに登校して

0限目を受けて、

HR(ホームルーム)まで疲れたふりして寝て、HR、1限、2限、3限、4限、

それからおずおずと一緒に食べようってクラスメイトの誰かに言って

食べ終わったら、どこかに行ってしまうその子達を見送って、寝たふりをして

5限 6限 7限 まで受けたら帰宅。


それの繰り返し


「飯森さん」ってしか呼ばれないこの空間が重くて、

中学生時代をよく思い出しては泣きたくなった。

だれでもいいから

「柚月」って呼んでくれる事を望んでいたのに、

うちは誰にも近づかなかった。


そのうち一人に慣れて・・・・と、言っても一人は嫌だったのだけれども。

べつに三年間コレに耐えるだけの日々もいっかなぁ~

とか、すでにネガティブ一直線の思考回路を得た頃

うちはクラスでもう一人

うちと同じように一人でいる少女を発見した


それが「蜂屋 唯子(はちや ゆいこ)」


うちが高校に入って初めて”友達”と呼べる存在になる子である。

高校時代=灰色

高校時代を色で表すならまさに「灰色」


うちが行ってたのは「K高」で、県下では1番人気の高校だった。

理由は簡単。

進学校だけど、部活が強くて、県立だから。

都会の方では私立が支持されているけど、

うちが住む田舎では学費が安い県立の方がより支持されているのだ。


でもなにより、

K高は他の高校より断然、規則が緩くて、遊べて、高校生活を満喫できる。



結果、派手な女の子、派手な男の子が異様に多い高校が出来上がった。


うちは田舎で育った、まさに田舎もの。

田舎で育った、エセ派手人は苦手だ。ぶっちゃけ恐い。

そんなわけで、

人を避け、薄笑いを浮かべ、当たり障りもなくクラスにいる「うち」には

友達がいなかった。