レナードの朝はだいぶ古い映画ですよね。派手なアクションもなく、壮大なラブストーリーもない、医者と患者の物語です。神経系の病人に新薬を投与して一時は目覚ましい回復を遂げたものの、すぐに効果が薄れてまたもとの病人に戻る。といった内容です。最後がハッピーエンドで終わらないところが、すごく現実的です。一番の感想はすごく悲しい、という一言に尽きます。薬を飲む前の状態に戻るなんて、あの夢のようなひと時はなんだったのか。患者さんも辛いですが、新薬を投与した医者は本当に辛かったと思います。この映画を思うたびに、患者さんに薬を飲ませたのは良い事だったのか、一時にせよ、回復できて幸せだったのだろうか、どうせ元に戻るなら、最初から薬など飲まない方が良かったのではないか、と永遠に悩んでしまう、そんな映画です。