2022年9月頃に地域に配布したニュースの記事は以下の通りです。

 

 

1.  統廃合をめぐる新たな状況

 横浜市教育委員会(以下、市教委)は、斎藤分小学校の学区域では生徒数の増加は見込めないと当初から何の根拠もなく繰り返し強調してきました。ところが2022年4月に同校の新1年生は44名となり、22人ずつの2クラスが生まれました。

 市教委は統廃合案が検討部会で否決されれば、斎藤分小学校の建替えはもちろん大規模改修も行うことはないとも繰り返し強調してきました。ところが9月に入り、市教委は数千万円をかけ斎藤分小学校を改修すると発表しました。これが大規模改修かどうかは不明ですが、何が起こっているのでしょうか。

 

 

2.  市教委による統廃合実現に向けた一方的誘導政策

  • 市教委が検討部会に提出した資料では、「小規模校の利点」と「小規模校の課題」、「学校統合による効果」と「学校統合による課題」を掲げプラス面とマイナス面を冷静に列挙しています。しかし議論を進めていく過程で「小規模校の利点」と「学校統合による課題」を後景に押しやり、「小規模校の課題」と「学校統合による効果」を前面に押し出し強調しています。

 

  • さらに第3回検討部会(2022年7月4日)に提出された「資料5」では「直近で学校統合した学校長へ統合前後の学校の様子についてヒヤリングした」結果を発表しています。学校長が統合に否定的な見解など表明することは難しいことは明らかです。非常にアンフェアな誘導政策です。

 

  • また市教委は統合案の可否は検討部会の議論に委ねると表面的には極めて民主的な姿勢を見せていましたが、結果的に否定された場合には斎藤分小学校の建替えは不可能で大規模改修も行わないし、すでに建替えが完了している二谷小学校への統合もあり得ない、と恫喝にも近い姿勢を見せ統合案への賛成を強要する反民主的本性を露わにしています。

 

  • 斎藤分小学校の建替えはもちろん大規模改修が不可能な理由として、旧バス道路から同小学校に至る道路が狭隘である上に、小学校周辺の道路も狭く校舎の解体や建設に不可欠な建設重機の搬入も難しいし、長期にわたる工事で周辺住民に迷惑がかかることをあげています。周辺住民からアンケートでもとったのでしょうか。またしても根拠のないことを建替え不可の理由としています。まともな行政のやることではありません。数十年前、今よりも明らかに狭隘であった道路を利用して3階建ての鉄筋コンクリート造りの校舎が建築されたのです。市教委の説明は整合性を著しく欠くものと言わざるを得ません。

 

 

3.  教育は国家・社会の発展と安定の基礎です

 教育費・研究費や育児手当を充実させていくことは、結果的には社会の発展と安定を保障することが多くの実例で証明されています。世界的にも多くの研究で確認されています。因みに日本の公的教育費の対GDP比は世界第135位(2019年)です。日本の名目GDPは米中に次いで世界第3位ですが、公的教育費は実に貧弱と言わざるをえません。

 20~30人規模の小学校とは違い200人規模の学校の利点を無視して、そのマイナス面だけを強調する市教委の姿勢は近視眼的です。私たちの会が何度も指摘してきたように、小規模校は世界的潮流です。教育先進国の小学校の生徒数は100人からせいぜい200人です。WHO(世界保健機関)も人間的成長を促すためにも1学校100人以下の学校規模を推奨しています。

 

 

4.  斎藤分小学校を廃校にした場合に発生する問題点

①  過酷になる通学

地形的に凸凹のあるこの地域では長く急勾配の坂が多く、体力の弱い1・2・3年生が通学することになります。暖かい晴れた日ばかりではありません。雨の日、雪の日、風の強い日、灼熱の日もあります。斎藤分小学校への通学路は比較的安全ですが、二谷小学校の校地への通学路は交通量も多く危険性が高まります。

 

②  維持困難になるキッズ・クラブ

現在、斎藤分小学校のキッズ・クラブは約60人、二谷小学校のそれは約90人で、仮に統合が強行されたら約150人と大規模になり、ボランティアの確保が難しい現状からみるときめ細かい対応ができなくなります。

 

③  個別支援学級の軽視

斎藤分小学校と二谷小学校には、それぞれ12名と13名の児童がこの学級に通っています(2021年5月現在、市教委の資料)。仮に二谷小学校の校地に統合されたら斎藤分小学校に通う児童ばかりでなく登下校についての保護者の精神的・肉体的・経済的負担がずっと重くなります。

 

④  コミュニティの崩壊

小学校は児童が人生において社会生活を経験する初めての場であるとともに、保護者にとってもコミュニティに深く関わる場でもあります。小学校廃校はコミュニティの崩壊につながります。文部省通達「手引き」でも学校の地域的意義を確認している通りです。

 

⑤  災害時避難場所の消失=「命の砦」の消失

斎藤分町には極めて小さな公園があるだけで災害時に住民が避難する場所がありません。斎藤分小学校には防災倉庫が設置されており小学校周辺町内会・自治会は、定期的に防災倉庫の点検と防災訓練を行っています。小学校は教育の場であるとともに地域の「命の砦」でもあります。跡地が避難場所として確保される何の保証もありません。

 

 

 

市教委に意見をお送りください

→皆様の意見は「検討部会」で資料として採用されます

① e-mail:ky-kanagawa2021@city.yokohama.jp

② 電 話:045-671-3252

③ FAX:045-651-1417