美結「......」

美結「っ...」

美結は再び目を覚ますと、夜になっていた。

横に視線を向けると葵の姿は無い。

美結「...っ」

美結「葵...!」

静まっている暗い丘に気配は感じず。

美結「...うぅう!」

また葵を失い、先の見えない夜道に座り込み

泣くことしかできなかった。


数分経って美結は冷静になろうとする。

美結「(...弱気になってる場合じゃない)」 

美結「(また葵がヤツらに...)」

美結「(クソ!なんで居場所が分かった!)」

美結「(葵...また離ればなれなんて嫌...)」

スマホのフラッシュライトを頼りに丘を下りる。


葵「...っ」

大豪邸の三階で意識を取り戻した葵は、

再びSPに連れ去られたと理解する。

葵「...」

美結のもとへ駆けつけようと

窓から抜け出そうとする。

(ガチャッ)

そこへ入ってくる葵の父。

葵の父「どうやら我に返ったようだな」

葵「っ...」

葵の父「...」

ゆっくりと葵に近付く父。

葵「...」


なんとか街中へ出た美結だが、

暗くて分かりにくい道標に迷い込む。

美結「...」

溢れ出しそうな涙をこらえて

葵の父の大豪邸を探し続ける。


そして日は昇り...

美結「...」

やっと大豪邸に辿り着いた時

多方面から現れたSPが美結を囲む。

美結「っ...」

SP「会長の意向を無視して」

SP「無断でお嬢様を連れ去る行為は、」

SP「決して許されるものではありません」

美結「権利は葵にあるから」

SP「会長は今回の件については、」

SP「見逃すおつもりのようです」

SP「ご退去ください」

美結「とっとと葵を開放しろ」

SP「これ以上、ご退去いただけない場合」

SP「お嬢様に危険が及ぶ恐れがあります」

美結「...脅してんのか」

SP「お引き取りください」

美結「...」

美結は何も言わずSPを睨み去った。

監視カメラで美結の様子を見ている葵の父。

葵の父「...」


美結は、再びあの時の警察に

再依頼しようと考えていた。

美結「(葵の記憶が戻ったことが)」

美結「(一番の証拠...!)」


急いで日本に帰国した美結は、

一先ず母に電話で自分の安否を伝えた。

みかんには現状を話したかったが

警察に行くことを優先した。


美結「もう一度、調べてもらえませんか?」

美結「お願いします」

警察「...」


美結から進展の話を聞いた警察は、

葵に改めて聴取をしようと

パリの警察と連携して再検討を行う。