PM18:10

仕事が終わった後、美結の家に集まった6人。

母は予定で夜10時頃まで帰れず

皆を家に招待した美結。


美結「いやー...このメンバー久々だなw」

葵「ね!」

ちか「本当だなー」

トマト「高校以来じゃん」

美結「俺はトマトと4年前にも会ったけど」

ちか「...葵はパリに引っ越したよな?」

橋「そうだったよね!今日だけ帰国?」

葵「今年の3月から帰国してるよ〜」

ちか「おっ!そうだったんか〜」

橋「おかえり!」

葵「ありがとうˆ ˆ」

ちか「ってことは今一人暮らし?」

葵「うん、一人暮らし」

ちか「いい家に住んでるんだろうな〜(笑)」

橋「お金持ちだからね〜...」

葵「いやいや...」

美結「その彼女が俺ですw」

橋「えっ!二人とも付き合ってたの?」

美結「中3の2学期からね」

橋「そんな昔から?!」

ちか「マジか」

美結「中学校卒業式の日に」

美結「葵はアメリカに引っ越したけど」

美結「一年後戻ってきてくれた(笑)」


トマト「ってか、皆んな変わってないなぁ〜」

真里愛「美結は相変わらず太ってるのね...」

美結「高3の時に14kg痩せたんだぞ?」

橋「えっ!すごい!」

真里愛「14kgも?でも変わってなくない?」

美結「元に戻ったけどね」

美結「そういえば、トマト子供できたってよ」

真里愛「えっ!マジ?」

橋「おめでとう!」

ちか「おめでとさん」

葵「おめでとう〜ˆ ˆ」

トマトに拍手する皆。

トマト「...」

トマト「お前...なんで知っとん...?」

トマト「うち言ってないぞ?」

美結「インスタのプロフに載ってたから」

トマト「怖っ!まだ見てたのかよ」

美結「あの時から見てないわw」

真里愛「男の子?女の子?」

美結「女の子で優愛ちゃん(笑)」

トマト「...」

ちか「いつ生まれたん?」

美結「2021年7月」

真里愛「今度見たいな〜」

トマト「夜以外は暇じゃけ遊びに来ていいよ」

真里愛「やった!家教えて〜」

美結「トマト、徹底的に家教えてあげろよ!」

美結「徹底的に!w」

美結「ここにいる誰かのモノマネww」

ちか「誰?(笑)」

美結「橋w」

橋「私?」

橋「あー...言ってたね〜...(笑)」

美結「今は?」

橋「言ってないな〜」

美結「上司の橋が部下達に"徹底的に!"ってw」

橋「私が上司はないよ〜...」

美結「橋は高校の頃、学級委員だったんだから」

美結「...今だから言うけど」

美結「俺、高1の三学期で中退してましたw」

真里愛「嘘!2年の時も制服着てたじゃん」

美結「あれは法事用に買ってもらったやつ」

美結「俺の高校、通信制で」

美結「制服か私服登校だったんだよ」

ちか「通信で登校...?」

美結「特殊だったんでね」

ちか「なるほど...珍しいな」

美結「俺はスカートが嫌だから私服だった」

真里愛「結局スカート履いてましたけど...」

美結「高校生したかったからw」

トマト「...まぁうちも高校行ってないけど」

美結「トマトもだったのか」

トマト「うちは連れから制服貰った」

真里愛「二人とも学校行ってないのに制服...」

美結「このメンバーで青春したかったんだよ!」

真里愛「なんで高校辞めたの?」

美結「んー...なんでだろうな(笑)」

真里愛「彩花って子と付き合ってたんでしょ」

橋「そういえば、いつも話してたよね?」

真里愛「見たことないけど」

ちか「俺もない(笑)」

橋「私も!会ってみたいな〜って思ってた」

美結「...」

トマト「その子とっくに死んどるよ」

橋「え...?」

皆の空気が止まる。

橋「...そうだったんだね」

トマト「...知らんかったん?」

ちか「初めて聞いた」

真里愛「葵ちゃんもよね?」

葵「私は前に話を聞いた」

真里愛「...本当なの?」

トマト「うん」

トマト「毎日その子を生きてるように扱ってさ」

トマト「もうおらんのに」

美結「...」

トマト「うちもずっと合わせてたけどさ」

トマト「コイツの為にハッキリ言ったんよ」

トマト「"お前、いい加減目覚ませよ?"って」

真里愛「...これ、聞いていいのかな」

真里愛「なんで亡くなったの?」

トマト「...」

ちか「...」

橋「...」

葵「...」

美結「...」

トマト「この際、皆んなに話せば?」

美結「......」

美結は深呼吸をする。

美結「分かった、話す」

真里愛「...うん」

美結「彩花は...」

美結「高校入学式の2週間後」

美結「...」

美結「病気で亡くなった」

トマト「...違うだろ」

美結「...」

美結「傷を抉るつもりか?」

トマト「話したら楽になるんじゃないの」

美結「...そんなので楽になるなら病んでないさ」

美結「彩花の幻覚も見えてないさ」

真里愛「本当は?」

美結「...」

美結「校舎の6階から落ちて死んだよ」

橋「っ...」

ちか「...」

真里愛「...」

美結「あの時は全身の震えが止まらなかった」

美結「トイレの個室に逃げ込んで、目を瞑って」

美結「授業が始まっても教室に戻れなかった」

美結「学校を辞めたのはそれが理由」

ちか「...そういうことか」

真里愛「イジメられてるとは聞いてたけど...」

真里愛「亡くなったのは本当なの?」

美結「うん」

ちか「通信でもいじめってあるのか」

美結「所詮...子供だからね」

ちか「子供って年齢じゃないでしょ」

美結「まだまだ子供だよ」

真里愛「彩花ちゃん、いじめられる要素ある?」

橋「なさそうだけど...」

真里愛「授業中に漏らした話あったよね」

真里愛「きっかけはそれじゃなかったっけ?」

ちか「...それでいじめられるか?」

美結「いや...その話は嘘」

真里愛「え、嘘なの?漏らしてないの?」

美結「うん」

真里愛「そんな嘘つく?」

美結「んー...記憶がおかしい」

美結「脳が防衛して嘘の悲劇を作ったのかも」

橋「それだけショックってことだね...」

真里愛「...じゃあ、余計分からない」

真里愛「彩花ちゃんがイジメられてた原因」

美結「弱い者いじめ」

美結「...彩花は弱かった」

ちか「いい歳こいて何やってんだか」

橋「許せない...」

真里愛「入学して2週間で自殺はよっぽどだよ」

ちか「早すぎる、人生の半分も生きてないのに」

橋「今の私達ですらもね...」

真里愛「高校って知らない人達が集うのに」

真里愛「最初からイジメなんてある?」

美結「...」

美結「彩花は学校でいじめられて自殺した」

美結「俺は目の前の彼女を助けられなかった」

美結「彼女に恋していたのに」

美結「これが現実だよ」

トマト「...もう過ぎたことなんだし」

トマト「考えても時間過ぎるだけだぞ?」

美結「...そうだね」

橋「彩花ちゃんを思うのも供養だから」

トマト「久々皆んな集まったんじゃけ呑もうや」

トマト「美結、酒出してー」

美結「酒...ごめん買い忘れた」

トマト「はぁ?!」

橋「私、買いに行って来るよ!」

美結「いい!俺が買いに行く」

トマト「おつまみも買ってきて」

美結「葵も手伝って...?」

葵「行こうか」

トマト「一人で行けよ」


マンションを出た美結と葵は、

近くのセブンイレブンへ歩いて向かう。

美結「えへへw」

葵「ˆ ˆ」

美結「...彩花の話は葵にとっては複雑だよね」

葵「え?」

美結「だって浮気話でもあるじゃない」

美結「イラッと来ない?」

葵「来ないよ」

美結「彩花が今生きてたら...?」

葵「...妬いちゃうかな」

美結「ふふっ...w」

美結「高3の夏休みに小説を作ったんだ」

美結「俺と葵と彩花の三角関係w」

葵「そうなの?(笑)」

美結「今度ノート見せてあげる」

葵「分かった(笑)」

葵「...でも、美結にとって」

葵「彩花さんは一生だよね」

葵「何より哀しい別れ方をしてるから」

美結「...」

葵「彩花さんを傷つけてきた人達は」

葵「自分や大切な人にも天罰が返って来るよ」

美結「...うん」


美結の家に帰って...

トマト「乾杯〜!」

全員「乾杯〜!」

(カランッ)

真里愛「...美味しい♪」

美結「みんなで乾杯するようになったのか...」

美結「大人になったな〜...」

トマト「お前だけジュースかよ」

美結「葵もお茶だもん」

トマト「車運転するからでしょ」

トマト「お前は違うだろ」

美結「酒美味しいと思わない」

トマト「まだ子供だな〜...」

美結「6歳の頃から飲み屋で」

美結「酔いつぶれた大人達を見てきたんだ」

ちか「俺はタクシーで帰るつもり」

橋「私も〜」

真里愛「夜8時には帰ろ」

美結「葵は10時ぐらいまでいて〜...(泣)」

葵「美結のお母さんが戻って来るまでいるよ」

美結「でも...ママに見られたらマズい」

葵「うん、分かってるよ」

美結「...俺の部屋の戸棚に隠れてw」

葵「それは難しいな〜...(笑)」

(♪〜)

ロビーから部屋への呼び出し音が鳴る。

真里愛「何の音?」

美結「え、誰?」

美結「親?!」

ちか「え」

美結は通話応答ボタンを押す。

美結「はーい」

美結「...」

美結「はい」

美結「...」

通話の向こうからは何も聞こえない。

美結「ん...?」

美結「どちら様ですか?」

美結「...」

不気味だと思う美結はロックを解除せず

通話を切る。

トマト「誰なん?」

美結「知らん、何も応答がない」

真里愛「怖っ...」

橋「部屋間違いかな?」

ちか「あり得る」

美結「焦ったわ...」


PM19:40

酒で盛り上がる中、美結は黙々とスマホを触る。

トマト「え、マジで?w」

真里愛「うんw」

トマト「ヤバーww」

ちか「でも、分からんくもない(笑)」

真里愛「でしょ?!」

トマト「ハハハwww」

美結「...あっ、そうだ」

美結「みんな!ダンスしよ!」

トマト「はぁ...?」

美結「みんなで踊ってみた動画撮りたい!」

真里愛「いきなり?」

ちか「俺はいい(笑)」

美結「いいから立って!」

真里愛「え〜」

橋「ダンス苦手だな〜...(笑)」

美結「真似だけでいいから!」

トマト「一人でやっとけ」

トマト「で、うちの彼氏がさ?」

真里愛「うん」

美結「...」

美結「あなたとは大人のダンスがしたい」

葵の肩を撫でる美結。

葵「...いいよ」

美結「来て」

美結は自分の部屋へ向かう。

葵は皆の様子を見てそっと立ち上がる。


部屋に入ってきた葵に抱きつく美結。

美結「はぁ...」

葵は優しく美結の背中に添える。

美結「...」

美結は葵の手を掴んで自分の胸を触らせる。

美結「あぁっ...」

葵「...」

声を抑える美結。

動きが激しくなろうとした時、手を止める。

美結「...なんか、みんな静かじゃない?」

葵「確かに...静かになったね」

美結「さっきまで賑やかに喋ってたのに」

美結「みんなに聞こえたのかな...」

葵「聞こえてないよ」

美結「...」

美結は恐る恐るドアを少し開けて覗く。

美結「...?」

テーブルに伏せて目を閉じているトマト達。

美結「寝てる...?」

美結と葵は部屋を出て静かに近付く。

美結「...みんな寝てる、酔っ払ったのかよ」

葵「今はそっとしてあげようか」

美結「撮っちゃおw」

美結はスマホでトマト達を盗撮する。

美結「...俺も眠たくなった」

葵「寝ていいよ」

美結「うん...」

美結「...」

美結は目を閉じると眠りに入る。


美結「...」

数十分寝ていた美結は目を開けると...

美結「...っ」

そこには、包丁を持ったトマトが立っている。

美結「何やってんの...」

トマト「...」

その生気のない表情は正常ではないと感じる。

美結「...」

息が止まる美結は葵の腕を掴む。

葵「...?」

目を開けた葵はその状況に驚く。

葵「っ...」

トマトは目先で眠るちかに近付くと

止める暇もなく包丁で腹を刺す。

ちか「っ!...うっ...」

美結「はっ...!」

腹に包丁が刺さった状態で倒れ込むちか。

トマト「...」

立ち尽くすトマト。

美結「っ...」

葵は急いで救急車に電話しようとするが

充電があったはずのスマホは電源が切れている。

葵「っ...美結ごめん、救急車に電話掛けれる?」

美結「救急車...」

しかし、美結のスマホも電源が切れている。

美結「嘘!なんで今...」

美結は急いでスマホに充電器を挿すが

充電されない。

美結「壊れてる...」

橋「...?」

美結達の声に目が覚めた橋。

美結「橋!救急車呼んで!」

橋「どうした...?!」

美結「ちかがトマトに刺された」

橋はちかに視線を向けて青ざめる。

橋「え?!」

橋もスマホを取り出すが電源が切れている。

橋「...」

ボタンを長押しするが反応はない。

橋「ちょっと電源が...」

美結「橋まで?」

皆の携帯も電源が入らないと分かる。

美結「どうなってんの...」

葵「ちょっと行ってくる」

葵は走って玄関へ向かう。

美結「俺も行く」

美結「橋!トマトを何とかして!」

葵「...あれ」

美結「どうしたの?」

葵「回らない...どうやったら開く?」

美結もドアの鍵を回そうとするが動かない。

美結「え、待って...なんで」(グッ...)

美結「っ...嘘でしょ?そんなわけない」

真里愛「きゃあああああ!!」

葵「っ...」

美結「っ!...」

美結と葵は部屋へ戻ると、

返り血を浴びた真里愛の横に

首に切り傷をつけられた橋が倒れていた。

美結「...またアイツが」

真里愛「いきなりハサミが飛んできて...」

真里愛「橋を狙うように...」

美結「だからトマトがやったんだろ...」

真里愛「いや、トマトじゃない...」

真里愛「あっちからハサミが飛んできた」

美結「は...?そんなことあんの」

真里愛「嘘じゃない」

美結「...この家おかしい、呪われてるわ」

葵は倒れているちかの様子を見て俯く。

美結「ちかは...?」

葵「...駄目だった」

美結「...」

真里愛「...」

美結「橋は...」

葵「橋さんも...」

美結「...そんな」

真里愛「...」

呆然と座り込む真里愛。

美結「...っ」

美結はトマトを探しに行くと...

(ジャーーー...ビチャバチャビチャ...)

風呂場から勢いよく聞こえてくる水の音。

美結「...」

恐る恐る扉を開けると...

美結「っ...!」

溢れ出る浴槽の水に沈んでいるトマト。

美結「何やってんだよ馬鹿!」

浴槽からずぶ濡れのトマトを引っ張り出す美結。

(ビチャバチャビチャ...)

美結「死ぬんじゃねえよ!」

美結「なあ!目覚ませよ!」

水嵩はくるぶしにまで到達している。

美結は水道を止めようとひねると...

(ドボドボドボ...)

勢いと水量が増す。

美結「っ...」

反対にひねると更に勢いは増す。

美結はトマトを抱いて浴室から出る。

そこに葵と真里愛も来て

トマトの応急処置をする。

美結は何としても浴室の水道を止めようとする。

葵「危ないから戻っておいで」

美結「...止めなきゃ、どっちにしても死ぬ」

葵「まだ時間はあるから大丈夫」

美結「...」

数分後、トマトは目を覚まさず息を引き取った。


真里愛「...もう終わったね」

真里愛「助けも呼べない(笑)」

美結「...時間の問題だよ」

(ドボドボドボ...ドン...ドン...,)

浴室の扉が揺れる音が聞こえてくる。

美結「...悪夢なら早く覚めて」

真里愛「覚めないよ、現実だもん」

美結「嫌...死にたくない...」

美結「死にたくない...」

葵「大丈夫...何とかなる」

葵は優しく美結の背中を撫でる。

美結「これは悪夢...これは悪夢...」

葵「っ...!」

真里愛の背後から倒れてくる食器棚が

葵の目に入った瞬間

(ドーン!ガシャガシャンッ!!)

押し潰され、姿を消した真里愛。

美結「っ...」

同時に電気も点滅を繰り返す。

言葉が出ない美結は壁際に座り込む。

(バッ)

電気が消灯して視界は真っ黒になる。

美結「嫌...嫌...!」

泣き出す美結を強く抱き締める葵。

美結「うぅう...!」

葵「大丈夫...大丈夫...」

(グッ!)

葵「っ...」

突然、葵は首に強く縄を巻き付けられ...

葵「うっ...!」

(バタッ!)

強い力で玄関の方へ引きずられる葵。

美結「葵!?葵!」

(ギーッ)

勢いよくドアが開けられ、外へ出される葵。

美結「葵!!」

美結は走って家を出て葵を追いかけると

葵が入ったエレベーターが目の前で閉まる。

美結「やめて...葵だけは...」

上がって行くエレベーターは6Fで止まり

美結は階段から全速力で上がる。


6Fに辿り着いた美結の目に入ったのは

縄で首を吊られて空中に浮いている葵。

美結「...」

美結「お願い...葵だけはやめて...」

美結はふらつく足で葵に近付く。

美結「お願い...」

届かない葵に手を伸ばした時...

(バッ)

急速で落下する葵。

美結「っ!...」

(ボンッ!!)

その爆音は心臓の奥にまで響き渡った。

美結「...」

崩れ込む美結。

ぼやける視界に映る人影。

美結「......」

端に立ってる人影がハッキリと映し出された時

眼鏡を掛けてる短髪の少女だと認識する。

どこかで見覚えがあった。

美結「...」

少女は美結に微笑む。

美結「...彩花?」

その時、全ての記憶が蘇る。

美結「っ...」

美結「ごめんね...」

涙が溢れ出る美結は、

手すり壁に片足を乗り上げると落下した。






─8年前─


担任「皆さん、今日から高校生活です」

担任「新たに頑張っていきましょう」

美結 (当時15歳)「...」

美結「(あの子...タイプだな...)」

美結「(仲良くなりたいな...)」

美結「(でも...勇気ないな)」


美結「名前は?」

彩花「高橋です」

美結「下の名前は?」

彩花「...彩花です」

美結「彩花ちゃん!可愛い名前だね!」

美結「俺は美結!」

彩花「あぁ...」

美結「よろしくね!」

彩花「...よろしくお願いします」

美結「あっ、敬語使わなくていいよw」

彩花「...」

美結「俺ね、小中学生の頃いじめられてたんだ」

美結「幼稚園の頃もみんなに嫌われてた」

美結「だから...高校で彩花ちゃんのような」

美結「優しい子に出会えて運命だと思ってる!」

美結「もっと仲良くなりたいな」

彩花「私で良かったら...」

美結「嬉しいˆ ˆ」

美結「あのさ、今日学校終わったら遊べる?」

彩花「...うーん」

美結「だめ?」

彩花「ちょっと...難しいです」

彩花「ごめんなさい」

美結「じゃあ明日は?」

彩花「...」

美結「明後日!」


美結「...彩花」

彩花「?...」

美結「俺、彩花のこと...」

美結「好き...です」

美結「恋愛として」

彩花「...」

彩花「ありがとうございます」

美結「...」

美結「付き合いたい...な」

彩花「...うーん」

美結「だめ...かな...」

彩花「...」

彩花「...その、私」

彩花「恋愛...っていうのが」

彩花「分かってなくて...」

美結「教えてあげるよ」

彩花「いや...うーん...」

彩花「...ごめんなさい」

美結「...」

美結「いいよ!俺こそごめんねw」


美結「彩花...俺のこと好きになれない?」

美結「俺は彩花のこと今でも好きだよ」

彩花「...」

美結「キスしたい」

彩花「...ごめんなさい」

美結「...」


美結「...っ」

美結「(彩花が誰かといる...)」

美結「(いつも俺としか話してないのに)」

美結「(誰あの子...違う学校じゃん)」

美結「(...しかも彩花、笑顔で話してる)」

美結「(俺には笑顔なんて見せたことないのに)」

美結「(まさか...付き合ってるとか...)」

美結「(恋愛分からないって...嘘...)」

美結「......」


彩花「...」

美結「...」(本を奪い取る)

彩花「っ...?...」

美結「お前最低だな」

彩花「え...」

美結「恋愛分からないなんて嘘つきやがって」

美結「俺と付き合いたくなかったからだろ」

彩花「いや...その...本当に...」

美結「マジで許さねえから」

美結「一生恨んでやる」

彩花「...」


女子生徒➀「見てこれ...」

女子生徒②「うわっ...」

彩花「?...」(自分の席に戻る)

彩花「...っ」

女子生徒➀「大丈夫...?」

女子生徒②「ひどい落書き...誰がこんなこと」

彩花「...」

女子生徒➀「消すの手伝おう」

女子生徒②「うん」

彩花「いえいえ...大丈夫です...」

女子生徒➀「いいよ」

美結「...」(彩花を睨む)

彩花「...っ」


先生「あれ?高橋さん、もう下校時間だよ」

彩花「リュックが見つからなくて...」

先生「えっ」

数十分後...

彩花「すみません...見つかりました」

先生「リュックずぶ濡れじゃん!」

先生「外にあったの?」

彩花「...落としてたみたいです」

先生「気を付けて〜...」

彩花「はい...すみません...」

彩花「...」


先生「授業を始めます、宜しくお願いします」

生徒達「よろしくお願いします」

先生「...高橋さん、筆記用具は?」

彩花「すみません...見当たらなくて...」

先生「それじゃ授業に参加出来ないよ〜」

彩花「...」

美結「...」(笑いを堪える)

女子生徒「良かったら使って」(筆記用具を渡す)

彩花「すみません...」

美結「...」(睨む)


美結「なあ」

彩花「っ...は、はい...」

美結「話がある、来て」

彩花「...」

美結「...」(トイレの個室に入る)

美結「入って」

彩花「...」

美結「入れって」

彩花「...」

美結「早く入れ!」(彩花の腕を強く引っ張る)

彩花「っ!...」

美結「...」(ドアを閉めて鍵を掛ける)

彩花「っ...」

美結「何震えてんだよ」

彩花「...」

美結「そんなに俺のこと怖いか」

美結「...なんか言えよ」

彩花「...」

美結「なんか言えやボケ!」(壁を強く蹴る)

彩花「っ...」

美結「...俺と付き合えよ」

美結「付き合ったら、いじめやめてやる」

彩花「...」

彩花「付き合えません」

美結「あ??」

美結「そんなに俺が嫌か」

彩花「...」

美結「お前をもっと苦しめてやる...」

美結「苦しめ!」(彩花の肩を殴る)

彩花「っ...」

美結「苦しめ!!」(彩花の腹を蹴る)

彩花「うっ...」


彩花の母「お世話になってます」

担任「どうも〜」

彩花の母「ちょっと...娘の彩花のことで」

彩花の母「聞きたいことがありまして」

担任「はいはい」

美結「...」(隠れて会話を聞く)

彩花の母「最近...彩花が自傷行為を始めて」

彩花の母「自殺未遂にまで至って...」

美結「っ...」

担任「ええ...それは心配ですね...」

彩花の母「悩みを聞いても」

彩花の母「何もないとしか言わなくて...」

彩花の母「学校では変わったことないですか?」

担任「ないですけどね〜...」

担任「ご家庭で悩まれてたりはないですか?」

彩花の母「...家では特に問題ないかと」

担任「勉強とか将来のことで」

担任「不安を感じることもありますから」

彩花の母「そうなんですかね...」


美結「おい」

彩花「...」

美結「おいって」

美結「逃げんなよ」

彩花「...」(去って行く)

美結「...」

美結「人が心配してやろうと思ったのに」

美結「何だよその態度...」

美結「ッチ...ざけんなよ...」

美結「おい」

美結「調子乗んなよ」(彩花の背中を蹴る)

女子生徒達「っ...」

美結「テメえが全部悪いんだろが!!」

(彩花を何発も殴り蹴る)

女子生徒➀「ちょっと...やめなよ!」

美結「あ??」

美結「お前ら全員ぶっ殺すぞ??」(近付く)

女子生徒達「...」(離れる)


美結「(あー...ムシャクシャする)」

美結「(学校行きたくねえ)」

美結「(アイツが視界に入るだけで腹立つ)」

先生「はい、授業を始めます」

美結「...」(机に伏せる)

先生「今日はこの問題からやっていきます」

先生「10ページを開いてください」

先生「...」

先生「〇〇(美結の名字)さん、寝ないでよ〜」

美結「...」

先生「〇〇さ〜ん」

美結「...」

先生「成績に響くからね〜」

先生「では、まず...」

(ボンッ!!)

生徒達「っ...?」

先生「この問題は...」

入口にいる先生「大変です...!」

入口にいる先生「生徒が転落しました」

先生「えっ!?」

生徒達「えっ...!」

美結「っ...」(顔を上げる)

先生「ごめん...ちょっと待ってね」(教室を出る)

美結「(...いない)」

美結「...」(教室を出る)


美結「...」

美結「...っ」(倒れている彩花が目に入る)

先生②「もう駄目...?」

先生③「...亡くなられてる」

美結「...」

担任「〇〇ちゃん、今は来たらいけん」

美結「私のせいです」

担任「え?」

美結「私が彩花ちゃんを殺しました..」

美結「彩花ちゃんをいじめました...」

担任「話は後で聞くから...」

担任「取り敢えず教室に戻って?」

美結「いやああああああああ!!!」

担任「落ち着いて...」

美結「ああああああああああ!!!」

美結の泣き叫ぶ声が学校中に響き渡る。


美結「っ...」(走ってトイレの個室に入る)

美結「......」


担任「今回のことは許されないのでね...」

美結の母親「本当にすみません...」

担任「ちょっとね...」(退学届を差し出す)

美結の母親「...」

美結「......」




彩花を殺したのは、俺だった。





────────────────────


美結(23歳)

葵(24歳)

トマト(22歳)

ちか(24歳)

橋(24歳)

真里愛(25歳)


彩花(当時15歳)