団地裏では故障した子猫の鳴き声。
こんな雨が降る日の部屋だったよね。
僕達が壊れたのは──。

何にもない部屋だった。
だけど幸福が全部あった。
それだけの日常だったけれど、
それだけで十分だった。

例えば平凡な恋愛映画。
「作り物みたい。」って笑っていたっけ。
でもまさか、僕達がその作り物だったなんてね。

雨に濡れた歩行器と死んだ三輪車の側で、
動けない捨て猫が親を呼んでいます。
誰でも待ち続ける事に寄りかかってしまえば楽なんですよ。
ほら、それは、聞こえの良い拒絶でしょう。

あの日、あの部屋は、
見知らぬ幸福できれいになっていたと云う良くある話。
そして、幸福で汚れたままの僕に聞きたかったことは、
只の錆びた言葉。

団地裏で停止した子猫の鳴き声。
僕が拾った小さな冷たさは胸の中で震えながら温かかった。

温かかったんだ──。

さあ、雨も止みだした。
びしょ濡れの顔で歩きましょう。
水たまりの底を覗いてみれば、
新しい僕は青空だった。
さあ、何処に帰ろうか。
雲の切れ間から陽が叫び、
僕は「さよなら。」に会いたくて、
大好きだったあの部屋の鍵を捨てた。

あの日、あの部屋は、
見知らぬ幸福できれいになっていたと云う良くある話。
そして、その部屋はきっと何処かでまた笑いかけます。
そう、こんな雨の後で。

団地裏では修理した子猫の鳴き声。
思い出にバイバイ。

──幸福で汚れた部屋。


正社員。
臨床検査技師。
歩荷。
DJ。
スクリプター。
装丁家。
テープライター。
命の電話相談員。
裁判官。
エンバーマー。
バディ編。
アクチュアリー。
消防官。
フリーター。

「空を見上げなよ!」

ストリッパー。
航空管制官。
オプチカル技師
ヘアメイク。
スタントマン。
派遣社員。
女装。
警察官。
キュレーター。
校正者。
理学療法士。
編集者。
売春婦。

「空を見上げなよ!」

他人と自分の生き方を比べる選びは、
そんなに楽しいのかい?
他人の不幸の上に座り込んだ幸福が、
そんなに欲しいのかい?

もう、結構なんですよ!

だから、僕は空を歌う。
言葉に出来ない願いを込めて。

「青空は何色だったっけ?」

眩しすぎて、
目を背けて、
恥かしくて、
捨てたはずのあの色を、
まだ、覚えているのなら──。

MR。
ウリセン。
特機。
ママ。
ジャーナリスト。
錠前師。
プラネタリアン。
植木職人。
芸者。
測量士。
ビデ女。
店子。
柔道整復師。
看護師。
検死官。

「空を見上げなよ!」

……本日ハ晴天ナリ。


コンニチハ!
平和な日本人様、
今日のご機嫌は如何ですか。

その顔、それが厭なんです。
誰ですか?話し掛けないでくれ!

嫌いなんだよ、アンタの顔。
嫌いなんだよ、アンタの声。
嫌いなんだよ、分かっちゃってくださいよ。

右向け!右!
1億のひ弱な道徳が、
気持ち悪い大人を作り出す。

自分は特別だと思っていませんか?
夢見がちな家畜が踊り出す。

趣味は知ったか振りと見て見ぬ振りで、
毎日、毎日、何も産み出さない。興味がない。

何が正しいのか分かんないです。
だから何が間違ってんのかも、分かりません!

嫌いなんだよ、アンタの夢。
嫌いなんだよ、アンタのアレ。
嫌いなんだよ、わかっちゃってくださいよ。

言いたいことも言えないアンタに再教育。
xxを腰に巻け!

嫌いなんだよ、アンタの顔。
嫌いなんだよ、アンタの声。
嫌いなんだよ、分かっちゃってくださいよ。

嫌いなんだよ、アンタの夢。
嫌いなんだよ、アンタのアレ。
嫌いなんだよ、わかっちゃってくださいよ。


君と僕


楽しいから馬鹿をしあった。
哀しいから抱きしめあった。
交差点、君と僕、通り雨。


傷つけたのは大事だから。
キスしたのは大好きだから。
泣き笑い、君と僕、天気雨 ― 。


「友達」とは別れない「恋人」の様なもの。
そして僕は考える。これは恋なのだろうか?


こんな「好き」はどうにもこうにも初めてで、
戸惑ってしまいます、僕。


これも恋って言うのなら永遠とでも申しましょうか?
付き合うこともないから、
別れることも出来ない。


こんな「好き」は後にも先にも二度と来ない、
そんな気がするんです、僕。


「ゆっくりいこうか?」


寂しいときには電話して。
何もしてあげられないけど。
長電話、君と僕、語り合い。


言いたいことはぶつけるだけ。
時にはキレたりもするけど。
大喧嘩、君と僕、仲直り。― おかしいね。


心に土足で入ることのすべてが、
いけないわけではないんです。


例えばこんなこと―


誰もが見て見ぬ振りを決めた、
手首についた醜い傷を見て、
君だけはこう言ってくれたよね!


「どうしたんだよ?」って。


寂しいときには電話して。
何もしてあげられないけど。
長電話、君と僕、語り合い。


言いたいことはぶつけるだけ。
時にはキレたりもするけど。
大喧嘩、君と僕、仲直り。


楽しいから馬鹿をしあった。
哀しいから抱きしめあった。
交差点、君と僕、通り雨。


傷つけたのは大事だから。
キスしたのは大好きだから。
泣き笑い、君と僕、天気雨―


─いつまでも、


青春狂騒曲


黎明の朝焼けに鳴り響くは梵鐘の陰言。
シャッターに吹き付けた小さな犯行声明文も笑う。


僕の前に続く道に、明かりが灯る。


薄明の夕焼けに鳴り響くは梵鐘の戯言。
シーソーに座り込み独りでに揺れるブランコを見ていた。


僕の前に続く道は、明かりに灯されてはいるけれど、
僕の歩きたい道じゃあない。
僕はまだ―。


流れ行く四季の空。
咲き乱れるは夢の花。
僕が意るあの場所は、夜明けが近い荒野の果てに。


+++


僕は僕の道を探すために青雲の志を持って故郷を後にしました。
何度も何度も何度も倒れながらそれでも僕は道を探し続けました。
山紫水明白砂青松花鳥風月───
この町には僕が暮らしてきた風景は何一つとしてありません。
何度も何度も何度も胸中の位置調べながら
それでも僕は道を探し続けました。
そしてある日僕は気づきました。
ひょっとして道はどこにも無かったのではないかと、
僕が探していた道とは決して目の前には無かっただけなのではないのかと。
立ち止まって振り向いた時、
僕の目の前には長い長い道が続いていました。
最初から道は僕と共にずっと一緒に歩いていたのです。
そしてこれからも共に歩いていくのでしょう。
ずっと、ずっと、ずっと!


+++


僕の前に続く道がある。
人波に泥めば楽だろう。
だけど僕はすべてを擲とう。


綻ぶ目に光が今射し込む!


僕の前に続く道はない。
僕の後ろに道は続く。
これは道無き道の旅。
終わり無き眩しい青春の旅 。


吹き踊る四季の風。
遠く見えるは夢の町。
僕が意るあの場所は、
朝日が昇る尚遠く。


青春を歩く狂騒の日々はいつまでか―?