1 論文編
ちなみに、これから初見で問題を解く方々もいると思うので論点の内容等のネタバラシはしません。
ので、まだ問題といてない方も読んで平気です。
そして、これはあくまで自分の主観と、自分の周りの受験生何人かの感想や択一自己採点の結果を踏まえてのものなので、違うだろ!って批判はご勘弁願います(笑)。
別に全国の受験生にリサーチしたわけではありませんので。
特に俺のことを知らない方は、あくまでも「こう感じた受験生もいるんだな」、という程度で読んでいただければと思います。
①憲法
まず、憲法の論文に関しては特に傾向の変化は無い。素直に法令違憲、適用違憲を聞く問題であった。
ただ、サンプル(プレだったか)にあったような訴訟選択が問われた。
まあ、行政法でやってるからあの程度は特に気にする必要はないが、問題文をよく読むように。
問題文の「いかなる訴訟を提起して、どのような憲法上の主張をすべきか。」という問題の前半部分を読み飛ばした人も多かったようだ。
今後の対策としては、これまで通り、過去問検討、予備校答練、市販の問題集なら伊藤塾論文問題集等で十分であろう。高得点を狙いにくい科目なのであまり勉強時間をかけるべき科目ではない。
②行政法
激しく難化である。まず、理由の一つとしては、公法系4時間から行政法2時間になったため。2時間フルに行政法に時間使ってもらえるから、分量を増やそうという試験委員の勘違いである。公法系はもともと時間的にもっともきつい科目であるだけに、勘違い甚だしい。内容的にも誘導といえるような誘導はなくなり、難化している。わけのわからない要求も多かった。今後もこのくらいの難易度は覚悟しなければならない。従来の訴訟選択・訴訟要件・違法主張という黄金パターンはもう過去のもの。今後は、たまに出る程度ではないか。ただし、設問のうち一つは典型(処分性や原告適格)が問われるであろう。学者の好きな分野(行政救済法以外)も勉強しなければならないかも。行政法は伊藤塾の答練がもっとも難易度が高く本試験に近いと思われる。いずれにせよ、わけのわからない出題は今後も想定される。
③民法
これも難化だと思う。特に事案や法律関係が複雑となり、事案を正確に把握するのにも苦労する問題である。
設問3ができていないと痛い。
完璧に解けた人はまずいないだろう。民法は法律論重視の傾向が強くなった。民事系全般において要件事実はまったく求められていなかった。
民法の旧司過去問には法律論的に難しいものが多いが、今後は旧司の過去問で練習をしておくのが一番だと思う。
④商法
難易度は個人的には普通だと思う。これはもう、旧司の商法と変わらない。問われ方もこれまでより「効力」「法律関係」「責任」など広い問われ方になっているし、問題文も一ページ半。そして、多論点型。でも、半分くらいの人が重要なトピックを落とすなど、その他致命的なミスをしている受験生が多いので、今年受けた人は失敗していてもあまり気にしないことである。今後も商法は民法民訴とは異なり典型論点が繰り返されるであろう。旧司の過去問で練習しておくのがベスト。
⑤民事訴訟法
民訴は、新司のこれまでの過去問の傾向と特に変わりは無い。奇をてらったような論点もない。誘導の流れに乗った現場思考と基本知識が問われる。
現場思考が得意な人には旧司法試験よりヒントが多い分簡単であろう。予備校答練とかなり近いので予備校答練で練習しておけばよい。それと旧司と新司の過去問。
⑥刑法
これも、特に変化なし。旧司新司の過去問をやって、予備校答練をやっておけばだいたい論点は予備校答練で出たものがでる。
あとは現場で問題の特殊性に配慮できればよい。今年の問題の中では最も簡単な科目である。
⑦刑事訴訟法
分量が増えたと思う。おそらく行政法と同じ勘違いによるもの。問題の傾向自体はこれまで通りである。
いずれも伊藤塾とLECの答練で出ていた(刑訴設問1はLECのみかも)ので、予備校問題や、過去問で出たようなものしか出ていない。別件逮捕勾留は珍しいが、伝聞はいつも通りで内容も普通。
何もこれまでと変える必要は無い。旧司新司の過去問と予備校答練。
基本科目は旧司法試験がなくなった今、全科目通じて旧司法試験への回帰が予想される。
⑧倒産法
最初の頃の新司で問われたような判例をそのまま丸ごと聞くというような悪問は近時はなくなり、
基本的論点・基本的条文を基に現場思考を試すというタイプの問題であり良問となっている。
問題文も余計なことは書かずここ2年短文化している。
演習ノート21問というのが人気であるが、これは問題が無駄に長いし、答案例もいまいちなので、とりあえず、過去問と辰巳のえんしゅう本、予備校答練をやったほうが良いと思われる。
2 短答編
全体として例年より20~30点は難化していると思われる(各方面の自己採点結果をふまえた。)。とりわけ、公法と、刑訴は鬼である。例年100人くらい出る300点オーバーは今年は神の領域であろう。10人出るかどうか。
①公法系(激しく難化)
知識問題が減り、現場思考型、国語力を問う問題が増えたと感じる。
今年に関しては肢別本の重要度は下がったといわざるを得ない。
運やフィーリング問題、単なる国語問題的なのが多く勉強した人ほど損をする問題が憲法に増えた。
ちなみに、俺は旧司憲法満点、新司の過去問もこれまでのは軒並み初見で45~50点満点だったが、
今年は35~40点程度。
周りの成績を見ても憲法だけで10点以上難化している可能性がある。
肢別本やるならハートマークのもの(過去問肢)だけで良い。憲法は全部過去問肢だけど。
②民事系(難易度は普通)
民事系は、やはり知識を問う問題である。この点は旧司・新司通じて一貫している。
ただ、民法の肢の事案は初期の新司より長くなってきていて旧司の問題に近くなってきたと思う。
そして顕著な傾向は択一ですら要件事実が一問も出なかった。
論文ではそのうち出なくなるだろうと予想していたが、
まさか択一まで一問も出さないと徹底してくるとはさすがに思わなかった。
要件事実は今後、出題されても簡単なことしか問われないだろう(論文でも択一でも)。
民法は肢別+過去問集で良い。
民訴も肢別+過去問集。
商法は過去問を1,2回やっておけばよい。商法で肢別をやるのは費用対効果が悪すぎる。
③刑事系(刑訴難化)
単純知識問題はかなり減った。
事務処理能力・現場思考力・あてはめが要求されてきた。
おそらくこの傾向は今後ますます強まると思われる。
刑事系については肢別本よりも、過去問そのものを解いた方がよい。
肢別やるなら刑訴を1,2回まわす程度でよい。
刑法は論文レベルの勉強をしっかりやって択一答練等を受けておけば40はいくと思う。
ちなみに刑訴で知識を問われるのは実務的な部分が多い。
逮捕時勾留時の手続や公判手続(証拠調手続、裁判員裁判、簡易公判、即決裁判、略式等々)といった部分である。
3 総評
結論として一つ言いたいことがある。
公法系の試験委員は論文択一を通じて受験生を馬鹿にしてるとしか思えない。
公法系はもう選択科目にしなさい。