1999年、5thソロアルバム「Dead Bees on a Cake」を発表。

制作に5年をかけたシルヴィアンのソロアルバムとしては12年ぶりの作品。この間、結婚し子供も生まれ充実した私生活を送っていたが、そうした心の安らぎや愛、神について歌っている。先行シングル【I Surrender】は穏やかで幸福感に包まれた曲。【Wanderlust】は車で家族旅行をしていた思い出を歌った軽快でゆったりとした曲。【Dobro#1】は、ビル・フリーゼルがドブロを即興演奏したものに歌を入れたもの。ちなみにドブロは6曲あるらしい。また当初坂本龍一と共同プロデュースの予定で作業が進められていたが、そうした中から【Alphabet Angel】【The Shining of Things】は坂本龍一の個性がうまく表現された曲だ。残念ながら坂本とはうまくいかずに離れてしまった。
そのほか重要なのが、シルヴィアンのヒンズー信仰に関わる曲で、【Thalheim】ではマザー・メーラからダルシャナを受けた時の深遠な体験を歌い、シングルカットされた【God Man】、【Krishna Blue】【All of My Mother's Names】はインド的な雰囲気の曲。中でも重要なのが【Praise】で、これは聖女シュリー・マーがサンスクリット語で歌う印象的な曲だが、シュリー・マーは1997年にシルヴィアンの家に13人の側近を同行して滞在し、家をアシュラム化した。そうした強烈な体験にちなみシュリー・マー自身の歌をレコーディングさせてもらったいきさつがある。これまでもシルヴィアンの作品に宗教の影響は出ていたが、ここまで強烈なのは珍しい。
ちなみに2018年に2枚組限定アナログレコードがリリースされ、そこに4曲のアルバム未収録曲が収録されている。CDでも出してほしい。
EP「God Man」には「Time Spent」と題された映像が付いていた。家族との時間を過ごす貴重な映像が残されている。
(1-12)につづく