この本は2008年に中西氏が京都大学で行った国際政治学の講義をまとめたものです。口語体なので非常に読みやすく、しかも理解しやすいよう平易な表現となっています。
第一次世界大戦では情報操作により先進国の民衆には実情が知らされず、「国家総力戦」によって戦勝国でも大きな損害を被りました。そして、二度と繰り返してはならないということで反戦平和主義が登場し、ロシアでは共産主義革命が起こっています。ちなみに平和教育や軍縮が唱えられているのは太平洋戦争後の現在まで続く日本と非常に良く似ています。
そもそも国家があるから戦争が起きると考え国際連盟が作られました。国際連盟では常任理事国に拒否権がなかったため、一旦問題が生じると国際社会から孤立することとなります。一方ドイツでは莫大な賠償金請求に苦しんでいました。そのような孤立した国が現状を打破するため行動を起こしたことにより、第二次世界大戦に突入します。
そのような感じで歴史の流れを大きな流れとして説明されるとよく理解できます。幕末の話や民主主義のことなど目からウロコの話が次から次へ出てきます。感心することしきり。
読んで損はありません。ほかの著作も読んでみたいと思います。