適菜収「日本をダメにしたB層の研究」 | ヒロエモンのハッソーハッソー

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聴いてる音楽、プロレス観戦、美術展など

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タイトルに惹かれて読みましたがクセのある内容でした。

「B層」とは小泉郵政選挙のときに自民党が広告会社に作成させた企画書に登場する「マスコミ報道に流されやすい比較的IQが低い人たち」のこと。「郵政選挙に賛成か反対か」など物事を極端に単純化させ、普段モノを考えていないひとたちの票を集めました。いわゆる世の中の気分で動く人たちのことです。

インターネットの普及によりB層は何にでも首を突っ込み自分の意見を表明します。玄人と素人の境界が消滅し、プロの領域に素人が口を挟んできます。数字を挙げて論理的な言葉であれば一見正しい意見のように見えますが、プロが積み上げてきた領域に簡単に物申すことに変わりなく、それらの集合により「民意」が形成されます。

「民意」といえばもっともらしいですが、結局各種報道などで誘導された意見に過ぎません。「民意」ほど移ろいやすいものはありません。

この本ではゲーテやニーチェの言葉を引用しながらいわゆるB層に支配された日本の現状を指摘していきます。刊行当時、民主党政権だったこともあり、多くの民主党の政治家が登場し、彼らの支離滅裂な言動が紹介されています。もちろん当時の評論家と称する人たちも。それらを読むのは今となっては爽快ですが、結局著者にバカにされているような気になるのです。読者もB層ですから。

突然音楽ネタになるのもクセのある一因となっています。自分は音楽が好きなので興味深かったですが。