最近、野心というものが生まれた。とは言ったものの、決して面白いものではない。人よりもデカくなりたいという、至極ありふれた野心だ。もっと言うと、中学の同級生のなかで一番デカくなりたいという小さな野心だ。小さくて面白くない野心。
私は昔から勉強も運動もできる方ではなかった。むしろ運動に至ってはできない側だった。周りの人となりが良かったから大して揶揄されることはなかったが、それでも劣等感、彼らも自覚していないほど小さな優劣がそこにあった。昔からそうだった。体が小さく、頭も悪く、人付き合いも苦手な、劣性固体がそこにあった。負け癖、逃げ癖もついていた。端から勝てるビジョンも見れないのに挑んで負けて馬鹿にされるのが怖かったから。だから受験も就活もしなかった。できなかった。
そんな男が今、東京の大企業で内勤をしているのだ。この事実だけでも片田舎の彼らに勝てるだろう。高校受験、大学受験、就職活動を頑張った結果、田舎の中小企業で汗水たらして働いていることだろう。もちろん私は友好関係を捨て去ったので彼らの現在は知らない。噂だとなんか結婚したとかしてないとか。海外に留学したとかしてないとか。親の七光りで社長や農家やってる人もいるのだろう。本当に知らんけど。
とにもかくにも、私は彼らに勝ちたいのだ。努力してきた彼らに、努力を一切していない私で勝ちたいのだ。理由は面白そうだから。
─今どこ住んでるの?
東京だよ。
─ええ!?東京!?すごいじゃん!
いやいや、そんなだよ。
─仕事は何してるの?
まあ、○○(大手企業)の内勤かな。
─すご!いいなー!
という会話を同窓会でしてちやほやされたい。私が同窓会に呼ばれることはないけど。
とにもかくにも、クラスのパッとしなかった陰キャがデカくなってたら面白いよなという話。そのオモロのために私は努力する。一切の努力をしてこなかった分、努力ポイントが有り余っているのだ。お前らは次の同窓会までに笑いのポイントを貯めておくことだな!