
産業カウンセリングは、20世紀の産物になります。産業革命により、業務の機械化、管理社会化、人間関係の希薄化などが進み、それが原因で職場の内外で多くの疎外感を感じる人や環境に適応できない人が出ました。
一方、これらの問題に対し、人間性回復、環境改善を図ろうとする心理的、社会的サポートが試みられました。その代表的なサポートが産業カウンセリングになります。
専門的(お金をもらう)援助活動としてのカウンセリングは、20世紀初頭のアメリカで起こり、発展しました。発展した原点の1つが、職業指導運動になります。
1900年代初めのアメリカでは、急速な工業化が進み、職を求める多くの若者が都市に集まり工場労働者となりました。その若者たちは、適性や興味をなんら考慮されず仕事を与えられました。
その結果、1年もたたないうちに退職するものが多く、孤独と生活苦から悪に染まるものが続出したそうです。こうした背景の中、若者を救おうとする社会運動がおきました。その運動家の一人が、フランク・パーソンズです。
パーソンズは、1908年、ボストンの市民厚生館に職業局を設置し、職業カウンセリングを開始しました。そこで働く相談員をカウンセラーと呼びました。
パーソンズの死後、1909年に「職業の選択」が出版しました。本の内容は、科学的な職業選択とカウンセラーの働きを説明したものです。科学的な職業選択とは、以下の3つのプロセスであると書かれています。
①自分の能力、興味、個人的諸条件について明確な理解をする。
②その職業が必要とする資質・適正や報酬、将来性などを分析する。
③①と②を統合し、合理的に判断する。
パーソンズは、③のマッチングをカウンセラーの中心業務とし、「丸いクギは丸い穴に」というスローガンを掲げました。これは人それぞれの適材適所の考えです。
パーソンズが設置した職業局を今の日本に当てはめると、ハローワークがそれに該当します。ハローワークでは、さまざまな分野の教育訓練を用意しています。失業者には、失業給付金を支給したり、教育訓練を受けた方には教育給付金を支給しています。ハローワークにも相談員の方がいます。
私自身も、産業カウンセラーの講座や夜間Webデザインの専門学校に通学した時に、教育給付金をいただきました。資格取得の勉強をする際などは、教育給付金の対象となっているかどうか確認することをおすすめします。
民間企業では、資格取得の専門学校が人材紹介事業も行っていたり、若年層を対象に社会人としての基礎研修を行ったあとに就職支援をする会社もあります。
就職するときは、そういった機関を利用するほうが効率的な場合がありますので、有効に活用しましょう。
福井祐平
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