ミシマオコゼ Uranoscopus japonicus 仔魚のスケッチ:改訂 | ウッカリカサゴのブログ

ウッカリカサゴのブログ

日本産魚類の仔稚魚のスケッチや標本写真、分類・同定等に関する文献情報、
趣味の沖釣り・油画などについての雑録です。

ミシマオコゼ(水戸、1960より)

 

ミシマオコゼ?(6.2 mm NL) (小嶋原図)

881102 千葉県御宿

参考:ミシマオコゼの背鰭:4-5棘13-15軟条;臀鰭:14-15軟条

 

アオミシマ Xenocephalus elongatus(表層生活期)

 

アオミシマ仔稚魚に比べて、別属のミシマオコゼ属幼期の形態・生態情報の量は極めて少ない。恐らく、初期生態が異なっているのだろう。

 

沖山(1965)は佐渡海峡に出現する魚卵・稚仔について、『アオミシマ稚仔はすべて表層で採集されたのに対し、・・・(中略)・・・ この類は後期稚仔期に一時的に極めて強い表層出現傾向を示すようで、それは丁度稚仔の頭部形態が特殊化をする時期に対応し非常に興味深い。』と記述している。

 

日本産ミシマオコゼ科 Uranoscopidae 3属の属レベルでの主な識別点
背鰭は2基, 臀鰭条は15本以下
  ミシマオコゼ属 背鰭軟条は12-15本
    メガネウオ Uranoscopus bicinctus
    キビレミシマ Uranoscopus chinensis
    ミシマオコゼ Uranoscopus japonicus
    トウカイミシマ Uranoscopus sp.
    ヤギミシマ Uranoscopus tosae
    カスリミシマ Uranoscopus turbisquamatus

背鰭は1基, 臀鰭条は16本以上
  サツオミシマ属 背鰭軟条は18本
    サツオミシマ Ichthyscopus pollicaris
  アオミシマ属 背鰭軟条は13-14本
    アオミシマ Xenocephalus elongatus
 

■ 参  照 ■


◆水戸 敏(1960)
日本近海に出現する浮游性魚卵および孵化仔魚の検索
九州大學農學部學藝雜誌. 18 (1), pp. 71-94, 17 pls.
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/21522/p071.pdf
p.90 の脚注に、付記として『1960年9月8日に愛媛県沖においてミシマオコゼ Uranoscopus japonicus Houttuyn の人工授精を行い、その結果 III.A, No.1 はミシマオコゼであることが判明した。』と記載してある。

この検索では個々の種の詳細の記載はされてないが、ミシマオコゼについては、詳細が下記「塚原 博 “沿岸魚類資源の稚魚期に関する研究”」に記載してあるほか、さらに詳細な記載が下記の水戸(1962)にある(図は水戸、1960を参照するよう指示されている)。


◆水戸 敏(1962)
日本近海に出現する浮游性魚卵-IV : ワニギス亜目およびミシマオコゼ亜目
九州大學農學部學藝雜誌. 19 (3), pp. 369-376. 
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/21584/p369.pdf

 

◆水戸 敏(1966)

日本海洋プランクトン図鑑. 7, 1~74, 蒼洋社, 東京

 

◆塚原 博 “沿岸魚類資源の稚魚期に関する研究
2020-12-16
https://ameblo.jp/husakasago/entry-12644307204.html
研究結果の詳細(昭和35年度)
1. 人口受性を行なった種類〔原文ママ〕
    ミシマオコゼ Uranoscopus japonicus Houttuyn

 

◆沖山宗雄(1965)

佐渡海峡に出現する魚卵・稚仔に関する予察的研究.日水研報告, 15:13-37.

http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/publication/kenpou/kenpou-15,13-37.pdf

 

◆西田百代 (著・写真) 海のミクロ生物図鑑  - 仮説社
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784773502992

鰭条数(特に背鰭棘)がカウントあるいは確認できれば、チリメン・モンスターも貴重な学術標本になりそう。